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シフト リンケージ ブッシュ(コラムシフト車)

難易度指数:2 工具はラジペンだけ

コラムシフト車の場合、シフトリンケージの構造が複雑であるがゆえに不具合が出やすいと言えます。

【代表的な不具合例】※大抵は複数発生する

【考えられる原因】

このページでは傾向的に最も多い「シフトリンケージのブッシュのヘタリ、摩耗、脱落」の確認方法、修理方法を解説します。

1.構造

まず、シフトリンケージの概要です。シフトリンケージは下図のような構成になっています。レバー操作には「前後」「上下」の2つのアクションがありますが、この要素を2系統に分割してトランスミッションに動きを伝えます。リンケージは何か所か関節(赤丸部)があり、その中に「ブッシュ」と呼ばれる樹脂製の部品が挟まれています。人間の体の関節で言うところの軟骨です。ブッシュは樹脂製なので、あまり耐久性はなく、ヘタリや摩耗は比較的早く発生します。寿命は一例として、走行距離:4〜5万キロ、年数:10〜15年くらいと見て良さそうです。

2.点検

リンケージを揺すってみます。アクセス方法は場所により異なります。ステアリングコラム付近はエンジンルームから。残りは床下からアクセスします。床下作業時は車両をジャッキアップしてウマ(リジットラック)で固定します。

関節部(画像の黄色矢印部)を見ながら、関節部の軸と直角方向にリンケージを揺すった時(画像は車両床下右側から潜って、見上げたものです。これを例にすると、リンケージ(棒)を上下に揺すってみます)、ガタがゼロなら正常です。助手にシフトレバーの操作(小刻みにガチャガチャ動かす)をしてもらっても良いです。関節部に少しでもガタがあればNG。場合によってはブッシュが完全に摩耗して無くなっている(脱落している)事も珍しくはありません。ブッシュが脱落している場合は目視でも見分けられますし、その時のガタは5mm程度、カチャカチャと金属音が出るでしょう。

 

3.部品

購入時の部品名称は登録上の都合で「ブッシュ」よりも「インシュレータ」と呼ばれることが殆どです。

部品名称 純正部品番号 概算価格 *1 使用個数
インシュレータ 34552-89900 ¥170 8個

*1; 2017年1月現在

 

4.修理作業

8ヶ所とも固定方法、部品の装着順序は同じ。抜け止めにRピンが使われています。画像は右側から装着順に、プレーンワッシャ、ブッシュ、スプリングワッシャ、プレーンワッシャ、Rピン。これを踏まえつつ切り離します。

切り離しはラジオペンチを使ってRピンを引き抜きます。組み付けは、ブッシュを新品にして逆の順に行います。この時の補足事項は以下3つ。

装着されていたブッシュを取り出すと、かなり摩耗していることが多いです。下の画像は摘出した部品で、原形をとどめているのは4個のみ。残る4個のうち、2個は辛うじて残っていましたが、もう2個は脱落して見当たりませんでした。

作業後、シフトレバーを操作して、先の不具合項目が解消していることを確認します。ガタが小さくなり、節度感が増しているハズ。これが本来のフィーリングです。画像は作業後ニュートラル位置にしたもので、作業前の画像を比較してみてください。ノブの先端で3〜4cm上昇し、ほぼ水平に戻っています。

 

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