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時計修理

難易度指数:2 油差しのみ

クルマの装備品の中で「走る・止まる・曲がる」には特に関係ないものであっても、やはり不動だとスッキリしないものです。時計は常に目に入るものですし、動いていないと初めて乗せた人から「あれ? 時計は動かないんだ」と言われるのもなんともシャク! これだけでポンコツ呼ばわりされる原因になったり・・・・ちょっと考えすぎ?
普通の人からはこう思われるかもしれません。もっとも普通のクルマじゃないか・・・(爆)

旧車の時計は動かなくなる事が多々あるようです。これは内部がホントに壊れている場合もありますが、単たる油切れで止まっていることも多いのです。

油切れで動かなくなっていると、どう言う現象が起きるのかをもっと詳しく見てみると・・・

該当する項目が一つでもあるなら、油切れの可能性があります。

ここではその油切れ様な場合の蘇生方法をご紹介します。

 

1.本体取り外し

取り外すにはインパネ回りをバラさなければならないことが多いです。230の様にタコメータの入るところに時計があるクルマは確定です。130の様な単独で離れたところにあればそこまでする必要はないかも。130ではグローブボックスを外せば裏に手が入りますので、ナット2個と配線の外して取り出せます。

取り外しが出来ないと話になりませんが、この程度で次に行かせていただきます^^;

 

2.本体分解

* 同じ車種の時計でも製造メーカーが異なる場合があり、内部構造も若干ですが違います。当時はシチズンとJECOの2つの製品が存在していたようです。今回は130と230の画像がありますが、両者ともシチズン製のものです。

 

130でシチズン製の時計では振り子の油切れではなく、コンタクトポイント不良の場合があります。もちろんこの場合冒頭に書いたような不具合現象ではなく、完全に動きません。また端子の導通もありません。
内部のポイントを保持する部分が磨耗して「ズッコケ」てしまい、正規のアライメントが保てず常時ONしてしまうのです。こうなると時計内部にあるヒューズ(画像矢印)が溶断します。
修理方法はポイントがズッコケない様に外部から“押さえ”を作ってやります。この画像があれば良かったのですが、そのまま組んでしまいました(苦笑)
ヒューズも張り替えます。本来なら0.3A程度の管ヒューズの中身の線を張るのが良いのですが、ハーネスの「より線」をほぐした銅線一本で代用しました。


 

3.給油

計器類の給油はホントは極力しないほうが無難で、ど〜しても必要ならばホンの少しだけが原則。タップリ掛けると他の弊害が出ます。

給油箇所は円盤状の振り子の軸を支えている部分とその周辺の摺動部(黄色い丸で囲んだところ)。CRC-556等の粘度の小さいオイルを一滴垂らします。スプレー式の場合は針や極細のドライバーなどに少し吹き付け「しずく」になったら目的の部分に垂らします。数ヶ所やって行くうちに油だらけになるので、細く丸めたティッシュペーパーや綿棒で拭き取ります。


130


230

時計内には時刻調整用ギヤの他、日付入りの場合は周りにギヤが沢山あります。これらのギヤにはあまり給油しても意味がないので、特に何もしません。


230

その他、ケース内面が煤けていたら綺麗にしてやり、イルミのバルブもここで交換します。画像は新旧バルブの比較ですが、こうなっていたら切れていなくても交換すべき。ワット数は3.4Wで、暗いと思ってもそれ以上はダメです。グリーンのレンズが溶ける可能性がありますので・・・

これは本来の修理とは少し異なりますが、旧車のイルミは暗く感じる事が多いので、レンズに塗ってある遮光用の塗装(黄色い矢印)を剥ぎます。初めは#600程度のサンドペーパーで地肌が出て来るまで削り、次に艶出しの目的で#1000のペーパーで磨きます。艶はそれほど出ていなくても、ある程度の透明感が出ていれば問題ありません。これをスピードメータの同部位などにも施すと良いでしょう。


 

4.調整

一通り終わったら、電源を繋いでみましょう。動かなかった時計は息を吹き返したでしょうか?
もし、状況が変わらないようなら他が原因です。自動車計器の修理業者(ディーラーで教えてくれます)に修理を依頼して下さい。

動くようになったらバラしたまま(仮組みでもOK)電源12Vを繋ぎ、2日ほど放置して進み・遅れがないかチェックします。放置する期間は長ければ長いほど正確な状況が分かりますが、まぁ、2日もあれば良いのでしょうか。

進み・遅れがあるなら、速度調整スクリューを僅かに回して調整します。回す方向は・・・

* 「F」「S」の表示がない場合もあります。

と言う具合にホンの僅か回します。角度にすると10度くらいずつ回して按配を見ます。


 

5.組み立て

速度に問題なければ本組立です。分解の逆の手順でやれば問題ありません。ケース外周部の継ぎ目にビニールテープが貼ってある時計は省略せず新しいテープで継ぎ目をシールします。これは中にホコリが侵入するのを防止しているのです。  

 

 

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