ホーム > 自分でメンテ(エンジン編) > 8. フューエルフィルタ
難易度指数:1〜2 | 火気厳禁!!!! |
燃料タンクに入ったゴミや水分を濾過し、キャブやエンジンに悪影響を及ぼさないようにする為の部品がフューエルフィルタ(フューエルストレーナ)です。
交換サイクルは4万キロと言われていますが、古いクルマになるとタンク内のゴミが多く、使用環境によってはサビが出ている場合があり、フィルタを汚し易い傾向にあります。
フィルタが詰まると燃料が流れなくなるのはご承知かと思いますが、現象としてはこんな傾向があります。
これらの現象は大抵複数生じます。
フィルタの取付位置は全車ともエンジンルーム右フェンダミラー付近。燃料ポンプは純正クーラかパワステが装着されていれば電磁式で、それ以外は機械式。電磁ポンプ(IGスイッチONでカチカチ音がします)はセダンなら右リヤショックの近く、ワゴンならエンジンルームにあります。
燃料経路は
機械式ポンプ :
タンク → フィルタ → ポンプ → キャブ
電磁式ポンプ :
タンク → ポンプ → フィルタ → キャブ
の順。
グレード、年式等により3タイプあります。
特に交換手順と書くほどのことではないかもしれません。フィルタ本体は手で外れますし、あとは燃料ホースを外すだけ。
でもこのホースがなかなか外れない場合が多いので、少々チカラが必要です。固着したホースの外すコツはホースを捩りながら引き抜く事でしょうか。単に引き抜こうとしても余分にチカラを入れなければならないし、抜けた瞬間勢い余って燃料をブチまいたり、手が周りのものにぶつかって怪我をしてしまうこともあるので注意が必要です。
なお特に48年以降の排ガス対策車の様に、燃料蒸発ガスを大気開放せず燃料タンクを密閉してある車両では、作業中は給油口は開けておきましょう。
これはタンクの内圧が上がたままでは燃料ホースを外した際、止めど無く流れ出て来るからです。給油キャップを外したのにどんどん出て来る場合は、ホース内径とほぼ同等のプラスドライバを突っ込んで止めるのも良いでしょう(ただしドライバに付着しているゴミは取り除くこと)。
右下は外したフィルタのケースを切断した時の画像。48年式230GXで4年間/5万キロ使用したものです。この程度でも幸い詰まりによる運転性不良は発生しませんでしたが、ポンプ空打ちの兆候はありました。汚れは主に砂だと思われます。
タンクから電磁ポンプまでの間にカートリッジフィルタがないクルマでは、電磁ポンプの内蔵フィルタが要チェックです。カートリッジフィルタは新品なのに、燃料が来ないという原因の大半は内蔵フィルタの詰まりです。
電磁ポンプの装着位置は先述の通り、130では右リヤショック後方、230では右フロントフェンタ内が本来の場所です。
内蔵フィルタのメンテナンス
新品に交換しても良いし、清掃して再使用するか、撤去して別にカートリッジフィルタを増設してやるなど、手段はいくつかあります。
内蔵フィルタの脱着
130、230ともほぼ同じモノですが、230は右フロントフェンダのホイールハウス裏にあるインスペクションホールの蓋を外して作業します。タッピングスクリュー4本で止まっているだけですが、タイヤが邪魔なのでステアリングは右か左どちらかフル転舵状態にしていたほうが作業はラクです。
そして電磁ポンプ下部にあるダイヤル状のナットを緩めて、バンドをずらし、ケースを外す(パッキンが貼り付いているので注意)とフィルタが出てきます。
なお、ケースにはガソリンが浪波と入っています。火気厳禁はもちろんのこと、不用意にブチまいたりしないようにしましょう。
内蔵フィルタの清掃
2002年12月現在では日産純正部品として入手可能です。別に清掃して再使用でも十分使えると思いますので、その手順を以下に示します。
フィルタが漬かるくらいの容器に、灯油を入れる。
容器の中にフィルタを入れて歯ブラシ等でゴミを落とす(あまり強く擦らないように)。
パーツクリーナ等を、内側から外側に向かって吹きかける。
一応内蔵フィルタの純正部品番号も挙げておきます。製廃の場合は悪しからず・・・
内蔵フィルタ : 16404-78020
ケースパッキン(上記展開図4番) : 16407-P0310
電磁ポンプが元々リヤにあるので、カートリッジフィルタもリヤに増設します。下の例では、サイドメンバ(フレーム)に穴をあけ、ブラケットを介してフィルタを固定。タンク〜電磁ポンプ間に割り込ませます。また、フィルタはホースさし込み口が単純なタイプを使用しています。
注意点はフィルタの燃料の通過する方向が決まっているので、入口・出口を間違えない事と、サイドメンバはリーフスプリングの真上の為、干渉しない様、オフセットして設置する事です。
なお、エンジンルームのフィルタはそのまま残すべき。なるべくキャブ直前に1つあったほうが、ジェット詰まりなどのトラブルが避けられるからです。
右リヤフェンダ付近の床下から撮影
タイプ3のようにするのが最もオーソドックスかもしれません。または燃料タンクが室内にあって、しかも仕切りボードで隠れているので、タンク上部に特に固定はせずにホースだけ接続するかたちで増設しても良いと思います。特に後者のやり方は、タンク内にサビ発生の疑いがある場合は是非行いたい措置で、私もやってました。
機械式の場合 : ダイヤフラム不良で吸出せなくなることがあります。どちらかと言うと、ココは燃料漏れが多いかな・・・
電磁式の場合 : フィルタ詰まり以外の燃料系トラブルではこれが原因であることが一番多いかも。現象的には詰まった感じと言うよりもガス欠。
純正の電磁ポンプはミツバ製のものが使われていますが、内部のコイルをON-OFFさせる断続器にコンタクトポイントが使用されており、古くなって接点が焼損すると接触不良を起こして止まってしまいます。エンストの仕方はいきなり止まるのではなく、ガス欠と同じく徐々にクルマがガクガクし出して失速→エンスト→再始動は出来てもすぐエンスト→そのうち始動不可という症状です。路上での始動不能は焦りますが、落ち着いて「カチカチ」言っているポンプの音が止まっていないかを確認します。もし止まっていたら・・・・ キーONのままで、本体をハンマー等で叩いてやる(直接叩けない場合は、ドライバ等の工具を介して叩く)と復活することが多い、と言うかこれで復活することで有名なポンプです。 もちろん、寿命が来た証拠ですから交換しないと頻発するようになります。
長期間不動か続いた車両ではガソリンが酸化(=サワーガソリンという)してしまい、タンクやチューブといった金属部品を腐食させたり、ホースを劣化させたりします。俗に言う「ガソリンが腐った」とはこの状態です。
これが原因で床下のフューエルチューブが腐食してサビの欠片が浮遊している場合、大きな欠片はエンジンルーム付近での上り坂を登ることが出来ず、その手前で堆積し、詰まりに発展します。フロント側に電磁ポンプがある場合は、燃料を吸出せずに空打ち状態となるので、注意が必要。この様な場合は圧縮エア等でチューブ内を掃除する以外は方法がありません。
キャブのフロートチャンバに燃料が溜まらない時は、燃料が来ないのではなく、フロートのバルブが閉じている為に入って来ない場合があります。キャブ手前まで燃料が来ているかは電磁ポンプ装着車なら、ポンプ作動音やリターンチューブ内の流動音で大体の見当がつくこともあるでしょう。原因はニードルの閉固着や、フロートの調整不良で閉じ気味などが考えられます。
タンク内腐食が原因でサビの欠片が浮遊している場合、吸出し口(アウトレットチューブ)のタンンク内にあるストレーナ(茶漉しみたいな粗いメッシュのヤツ)が目詰まりする可能性があります。一部この部分だけ脱着可能なモノもありますが、そうでない場合は、燃料ゲージユニットを外して中から掃除するしかないかも。最悪はこのストレーナ部分を破壊し、タンク直後にカートリッジフィルタを増設するのも一つの方法だと思います。
またタンクの腐食がひどく、重症の場合は燃料漏れを起こす場合も。新品と交換するのが確実ですが、旧車ではそう言う訳にも行かない場合が多いでしょう。そんなときはタンクシーラ等でコーティング修理をしてやればサビの進行を抑え、ピンホール状の穴も埋めることが出来るので再使用が可能になります。
これはあまりないかな(笑) でも絶対ないとは言い切れません。
燃料が減ればその分、外部から空気を吸わなきゃタンク内が負圧になってガソリンが吸い上げられません。
原因は、排ガス未対策車(48年規制以前)ではベントチューブorホースの詰まり、48年規制車以降ではエバポガスチューブorホース詰まりや、エンジンルームにあるチェックバルブ(230のようなクランクケースストレージ式に有り。キャニスタ式はない場合が多い)の作動不良か、フィラーキャップのリリーフバルブ(あれは単なるキャップではありません!)作動不良など。
これが原因だと笑い話になります(笑) 燃料計がウソをついて、タンクが空っぽなのに燃料があるかのように見せかけていた・・・