ホーム > 自分でメンテ(エンジン編) > 9. エンジンオイル


エンジンオイル・オイルエレメント

難易度指数:2 自動車整備の基本?

エンジンオイル交換はクルマの定期的なメンテナンスの中でもっともサイクルの短いモノである為、比較的身近に感じるかもしれません。一般的に“オイル交換”と言うのは、コレを指します。

 

1.オイル交換サイクル

諸説ありますが、どれが一番良いのか、私にもハッキリわかりません。一般論を参考に「これくらいで良いんじゃないの?」というのは下記。

 

交換サイクル

エンジンオイル 6ヶ月または5,000km(+-2,000km)
オイルフィルタエレメント エンジンオイル交換2回に1回

もちろんサイクルは短いほうが良いのは当たり前。でも経済的な事も考慮してこの程度ではないかな?と思います。最近のクルマではオーナーズマニュアルに「15,000km」と書かれている車両もありますが、チトそれは長いんじゃない? 実際このサイクルを守っていてもスラッジ(簡単に言えば汚れ)等による不具合は発生しています。

交換サイクルは運転状況によっても左右されます。ゴー&ストップの多い市街地ばかり乗っているのと、空いている郊外の走行が多い場合とではオイルの劣化、スラッジの発生度合いが異なります。前者は早めに交換されることをオススメします。

また、殆ど乗らないクルマでは走行距離での管理はNGで、期間で管理します。オイルは缶を開封したとたん酸化が始まるので、品質を考えると少走行車でもだいたい6ヶ月が妥当と言われています。もちろん開封後、未使用であっても長期間経ったものは使用不可。

これらはもちろん目安です。「6ヶ月/5,000kmを超えるとエンジンが壊れます」と言う意味ではありませんので念のため(笑)

 

2.オイルのグレード

230が新車で販売されていた昭和40年代後半のオイルは、やっと現在のようなマルチグレード(当時はSA〜SB級)が登場したばかり。オイルの性能は日進月歩で、当時の目からすれば現在の格安低級オイルですら、近未来の超高級オイルに相当します。

私はというと、大抵SM前後の10W−30を使用しています。0Wは避けましょう。柔らかすぎて悪影響がある可能性があります。鉱物油か合成油かは、1960〜1970年代のエンジンでO/H歴無しの場合は鉱物油が無難、O/H歴アリや1980年代のエンジンならどちらでも良いと思います。これはオイルシールやパッキンの材質が合成油に耐えられるか、分子サイズがどうか(小さいと毛細管現象で漏れてしまう)などの関係です。230のような70年代のL型エンジンでは、経験上、合成油でも意外と大丈夫なようです。

230(130)搭載L型エンジンのオイル容量 : 約4L(エレメント交換しなければ3.5L)

 

3.オイルエレメント

L型エンジン用オイルフィルタエレメントの一例です。

  L系キャブ車 L系EGI車
純正品(現在は“PIT WORK”ブランドで供給されます) 15208-43G00 15208-W1106
純正品(PIT WORK) AY100-NS010 AY100-NS008
社外品(NITTO) 4NC-106 4NC-107
寸法等 外径: 93mm
高さ: 130mm
ネジ径: UNF3/4-16
外径: 93mm
高さ: 98mm
ネジ径: UNF3/4-16
上記以外の製品を使用する場合、純正品の部品番号をベースに適用するものを選択して下さい。

キャブ車用とEGI車用の相違点は高さ寸法のみ。キャブ車用>EGI車用となります。寸法が大きいほうが濾過面積が広く、空燃比制御がきめ細やかなEGI車のほうがスラッジ発生が少ないので、小型化されています。取付上は両者とも互換性はあります。

オイルエレメントの箱に記載された適用車種を見ると、RD、TD、QDなどのディーゼルエンジン車ばかりですが、大丈夫(笑)

 

4.オイル交換手順

4−1

オイルの後処理が出来ない場合は必須です。4L以上の容量があればOK。
でも地域によってはこの箱を剥き出しで置いては回収してもらえないことがある(かなり前から)ので注意が必要です。本来なら回収可の状態のハズですが・・・・
こんな時は、外箱は使用せず、中のビニール袋の状態で他の燃えるゴミと一緒に市区町村指定の袋に入れて出すしかない様です。

オイル交換はエンジンを一度暖機してから取り掛かったほうが良いです。オイルが温まっていれば抜けが良くなりますので・・・

4−2

ココは省略しても良い工程ですが、オイルの抜けを少しでも良くする為、フロントをジャッキで持ち上げます。車輪が浮くまでやらなくてもよく、少し上がる程度で十分です。

4−3

ドレンプラグを緩めます。ドレンプラグは7/8インチ(または22mm)のメガネレンチかコンビネーションレンチ、ソケットレンチなどを使用します。スパナのような2箇所で咥えるレンチは、角を傷めるので使用不可です。

最初はドレンプラグが固着しているので、少々ショックを与えなければ緩みません。柄長いレンチの端を持って一気にチカラを加えます。叩くように緩めても良いです。固着が剥がれた後は、指で回せるほど急に緩くなるので、勢い余って手を周囲にぶつけない様に注意する必要があります(結構これでケガします)。

最後は指で回して外しますが、完全にネジが緩み切ってもドレンプラグをオイルパン側に押さえつけておき、廃油皿(オイル処理BOX)のセット位置を確認して、ドレンプラグを一気に後方へ抜くようにすれば、手がオイルまみれにならずに済みます。


(左フロントタイヤ後方の床下から撮影)

4−4

オイルはすぐには抜けません。オイルの温度にもよりますが、時間に余裕をもって10分程度放置したいです。

ほぼ抜けきったところでドレンプラグを取り付けます。

ドレンプラグにはガスケットの役割をするワッシャを介してオイルパンに取り付けます。ワッシャは本来毎回交換するべき。状態によっては再使用できることも多いです。

品名 部品番号 概算価格 備考
ドレンプラグ 11128-69200 \300 二面幅: 7/8インチ(22mm)
ネジ径: 3/8インチ
ガスケット 11026-61000 \150 寸法: 22×15×3 mm
汎用パッキンの場合は内径16.2〜16.7mm、外径22〜26mm


ドレンプラグの締め付けも、初めは手で行い、最後はレンチを使用します。

ドレーンプラグ締付トルク:2〜3kg-m

キチッとしたトルク管理をするならトルクレンチが必要ですが、実際はここでトルクレンチを使用することは、まずありません。
ここでのトルクはあくまでも勘。レンチを使ってソコソコのチカラで「キュッ」と締めます(抽象的でスイマセン(笑))。新品ワッシャの場合は、内部が十分潰れるまで手応えが中途半端なので注意が必要です。

なお、トルクを掛け過ぎるとネジ山破損につながりますので、ガンガンにはダメです。

4−5

オイルを注入する工程ですが、オイルエレメントを交換する場合は、先に5-1〜5-4を済ませます。オイル注入は専用のジョウゴなどを使用したいところですが、結構保管が面倒なので、私はいつも新聞の折込広告の中から表面加工がされているモノを選び、丸めて使ってます。

注入しそろそろMAXかな?と思ったら、レベルゲージを引き抜いて油量を確認します。
確認にしかたですが、いきなり抜いてチェックするのではなく、

  1. レベルゲージを抜く
  2. ウエスで拭き取る
  3. もう一度エンジンに差し込み、また引き抜く
  4. 油量を確認する

という順番にやります。これは通常の油量点検も同じです。
オイル注入後、1分程度待ってからが良いでしょう。またオイルフィルタも同時交換した場合は、若干多め(Hの文字に掛かるくらい)に注入します。
最後にエンジンを始動し数分アイドル運転させてから停止し、更に数分後に再度油量チェックをします。レベルゲージのLからHの範囲にあればOK。それ以上でもそれ以下でもNGです。

4−6

最後にオイル漏れがないかを確認します。ドレンプラグから滴状のオイルがないか・・・
そしてエンジンを掛け、油圧警告灯が消灯することを確認します。
また、念のため翌日にも同様のチェックをされることをオススメします。

 

5.オイルフィルタエレメント交換

オイル交換と同時に行う場合は、オイル注入直前の工程でエレメント交換を行います。つまり上記オイル交換工程の“4−4”と“4−5”の間に以下のエレメント交換を済ませます。

5−1

ここも固着して貼りついているので、一般的には専用工具を使って外します。適正なトルクで取り付けられていて、長期間経っていないモノならば、ちょっとチカラが必要ですが手でも外れます。

専用工具がなく、手でも外れない場合は、オイルエレメントの横っ腹を大きなドライバーで串刺しにして回す、と言う手もあります(串刺しにした部位からオイルが少し漏れます)。

5−2

オイルエレメントが緩んで行くとオイルが流出します。必ず廃油受けを置きましょう。

オイルが付着したエンジンブロック下部をパーツクリーナなどで洗浄するほか、オイルエレメントのゴムパッキンが当たるところのゴミも拭き取っておきます。

外したオイルエレメントにはオイルが入っているので、十分抜いてから「燃えないゴミ」として廃棄します。なお、オイルエレメント内のオイルは簡単には抜けないので、右下画像のように廃油受けに10分程度放置し、引き上げてからも傾きを変えるなどして、残留オイルを十分抜きます。

5−3

新品のオイルエレメントのゴムパッキン部に新品のエンジンオイルを塗布します。

これを怠ると、装着時にパッキンが捩れたり、傷ついたりする可能性があるので、滑りを良くする目的で塗布します。

5−4

取り付けです。ここは工具は一切使わず手締めのみで行います。カーショップなどでたまに工具でガンガンに締め付ける事があり、説明書にも「工具を使う」と書かれていたりするのですが、この手のクルマは手締めが基本。工具を使用するとどうしてもオーバートルクとなりがちで、パッキンに過大なストレスがかかりオイル漏れの原因になることがあります。

締め付けトルクの目安は、エンジンシリンダブロックにパッキンが接触してから3/4〜1回転くらいと言われています。「もうちょっと回したいナ」と思うくらいで止めておくとちょうど良いかも。

5−5

全工程(オイル交換を含む)を終了後、エンジンを始動してオイル漏れがないか確認して終了です。

 

一覧へ戻る