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点火プラグ点検

難易度指数:2 ガソリンエンジン整備の基本?

点火プラグは、ご存知のようにエンジンの燃焼室でガソリンを点火させる為のもの。1秒間に数十回の火花を飛ばしている関係で、その電極は磨耗し、火花を飛ばす隙間(ギャップ)が広くなります。その結果火花が飛びにくくなり、失火の原因になります。

また、プラグの点検はエンジンの燃焼状態点検をしていることにもなります。すなわちプラグの汚れ具合で、エンジンの燃焼状態の良否もわかるのです。もしどこか不具合があった時、燃焼状態が判れば、キャブが悪い(空燃比不良)とか、エンジンのバルブクリアランスが悪いなどのおおよそ見当がつくのです。

 

1.プラグの知識

A. プラグの温度  
点火プラグが十分に性能を発揮するには、電極付近の温度をある範囲内で維持する事が必要です。適温を維持することで燃焼時に発生するカーボン(煤)を焼き切る“自己清浄作用”が働き、これの堆積を防止します。もし温度が低いと自己清浄作用が働かず、カーボンが溜まり、俗に言う「かぶった」状態になります。カーボンは導体ですから電気が逃げてしまい(沿面放電を起す)、本来の場所で火花が飛びにくくなってしまうのです。逆に温度が異常に高いと、電極が焼け爛れてしまうだけでなく、“プレイグニッション(早期着火)”と言って、プラグが熱源となって火花が飛ぶ前に燃料が着火してしまいます。これによりノッキングが発生し、エンジン破損へ発展するのです。
B. 熱価  
プラグの温度は、エンジンの種類や運転条件、気温などに左右されます。例えば同じエンジンでも一般道を買い物程度にしか使わないのと、高速走行が多いクルマとではプラグ温度の上がり方が違うのです。焼け過ぎず、冷え過ぎないちょうど良い焼け具合のプラグを装着しなければなりません。自己清浄温度以上で、プレイグニッションが発生しない温度範囲を“ヒートレンジ”と言います。またプレイグニッションで決まるプラグの使用上限を“熱価”と言い、数字で表記されます。放熱性が弱く焼け易い熱価は“焼け型”と呼び、逆に放熱性が良い熱価は“冷え型”と呼びます。

熱価はNGK製の場合は数字が上がるほど冷え型、数字が下がるほど焼け型になります。

右下の図はNGK製プラグの型式の表し方を説明しています。
230のL20では熱価は6番(BP6ES)が標準とされています。あとは使用状況に応じて1番程度増減可能です。実際の使用例から、一段焼け型の5番(BP5ES)でも通常使用は問題ないようです。


点火プラグの型式記号の意味(NGK製)

C. プラグギャップ
点火プラグの火花電極には中心電極と側方電極があり、この間にギャップ(間隙)が設けられています。ここに高電圧を掛けて火花放電を発生せさます。ギャップが無ければ放電は起こりませんが、キャップの大きさは意味があります。ギャップは小さければ放電しやすいのですが、ガソリン粒子を刺激させるにはギャップを大きくしたほうが良いのです。もちろん常に安定した火花放電が持続するようにしなければならないので、その範囲で大きくするのがベストです。

火花放電を起すギャップは以下の要素に左右されます。

  • 加える電圧の高さ
  • 火花放電を起す部分(燃焼室内)の気圧

加える電圧の高さはイグニッションコイルの性能や点火システムによります。一般的には2万ボルトくらい。点火システムがポイント方式かトランジスタ方式かで発生電圧は多少異なります。トランジスタ式のほうが、プラグに掛かる電圧(二次電圧)は高くなるので、ギャップを広げられます。

燃焼室内の気圧によっても放電のしやすさが変わり、気圧が上がれば上がるほど、放電し難くなります。アイドリングや一定車速時のようにスロットル開度が小さい時よりも、加速時や登板時のように、アクセル開度が大きく吸入空気量が多い時の方が、燃焼室内の気圧(圧縮圧力)が上がり、失火(ミスファイヤ)しやすくなります。

では実際のガソリンエンジンに使われるプラグギャップは・・・

  • ポイント式の場合 ・・・ 0.7~0.9mm
  • トランジスタ式の場合 ・・・ 0.9~1.1mm

エンジンによって多少異なりますが、一般的にコレくらいが適当と言われます。

D. プラグの寿命
走行距離で判断します。
  • 普通のプラグ ・・・ 3万キロ程度
  • 白金プラグ ・・・ 10万キロ程度

 

2.取り外し方

2-1 

エンジンは冷機状態で行います。暖機後でも出来なくはないのですが、非常に熱いので火傷する恐れアリ。

作業の初めは、まずはプラグコード(ハイテンションコード)を外すところから。100Vのコンセントと同じでく、根元を持って引き抜きます。でないと断線する可能性があるので。引き抜く前に、少し捻ってプラグとの固着を解いてからのほうがスムーズに出来ます。

なお、プラグ点検は全気筒一緒に行いますので、1本ずつ外して付ける、なんてことはしません。プラグコードも全気筒一気に外すことになるので、どれが何番気筒用なのか分からなくならないような注意が必要です。一箇所付け間違えただけで、エンジンが始動出来なくなったり、仮に掛かっても走れる状態にはならなかったりします。

2-2

専用のプラグレンチを使ってボルトと同じ要領で外します。

 

3.点検

3-1

外した点火プラグを全気筒分並べます。この時、どれがどの気筒に付いていたモノなのかは分かるようにしなければなりません。

焼け具合が大体均一ならばココではOK。もし1本だけ極端に違っていたら、その気筒に何か不具合がおきているハズ。具体的には以下の原因が考えられます。

  • そこだけ異種のプラグを装着していた (熱価不適切による、くすぶり or 過熱)
  • プラグ取り付け不良 (過熱)
  • プラグ不良
  • バルブクリアランス調整不良 (くすぶり or 過熱)
  • エンジンの圧縮不良 (くすぶり)
  • オイル下がりorオイル上がり (かぶり)

*:カッコ内のプラグ焼け状態は下図を参照下さい。

3-2

次は焼け具合そのものを点検します。焼け具合を見る=エンジン燃焼室の状態を見ると言うことになりますので、かなり重要です。特にエンジン不調の時、3-1、3-2の点検をしないで新品交換してはダメです(笑)

この画像で良否判断をして下さい。インジェクション車は正常時、もう少し白っぽくなるでしょう。よくあるNG例は“かぶり”、“くすぶり”です。

点検後はワイヤブラシとパーツクリーナで汚れを落とします。ただし白金プラグはワイヤブラシの使用は厳禁。

3-3

次の点検は電極の状態。

中心電極や側方電極の角部が磨耗していないかを点検します。角が丸く磨耗していたら寿命なので要交換です。だいたい2~3万キロ使用していたら角が取れ始めます。

3-4

ここではギャップの点検をします。

3-3で磨耗をチェックしましたが、磨耗し始めるとプラグギャップも広くなってきます。使用過程でギャップは広がる一方で、狭くなることはありません。

ギャップの測定は専用のゲージかシックネスゲージを使用します。

もしズレていたら・・・

  • 狭くする場合: 側方電極を中心電極方向に軽く叩いて調整します。プラグを落としただけでギャップがゼロになる場合もあるので注意。
  • 広くする場合: 細いマイナスドライバ等で上手くこじるか、専用の工具で広げます。

どちらの場合も、側方電極のアライメントが狂わないように注意が必要。

なお、230のプラグギャップは整備要領書を見ると、

L20エンジン : 0.8~0.9mm

となっています。トランジスタ点火方式にしている場合は1.1mmにしましょう。

 

4.取り付け

基本的には取り外しと逆の手順でOKですが、追加があります。

取り付け時は点火プラグに付着している汚れを十分落としてから、ネジ部にエンジンオイルを1滴ほど垂らします。CRC5-56にノズルを付けてホンの少し吹きかけても良いでしょう。いずれにしても電極には付着しないように・・・
(これは特にシリンダヘッド側のネジ山を痛めないようにする配慮です。)

OHVやOHCエンジンの場合は、初めは手でねじ込み、回せなくなったところで工具を使います、一応これはネジ取付の大原則。DOHCはスペース的に不可能なので、初めから工具を使います。

締め付けトルクは、2kg-m前後で良いと思います。柄の長いレンチだとあまり外側を持ってトルクを掛けないようにして下さい。トルクレンチを使う場所ではありませんので、トルクは勘です。レンチの柄をかなり短く持って、片手でギューッとやればだいたいいい感じになると思います。締め過ぎはネジを痛める原因です。また極端に緩い(締め忘れ)場合は、そこからエアを吸い、燃焼室が希薄空燃比で過熱状態となります。

 

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