ホーム > 自分でメンテ(エンジン編) > 14. 補機ベルト
難易度指数:1〜2 | 点検は基本中の基本 |
230のL型エンジンには3本のVベルトが掛っています。
劣化や調整不良があるとベルトの滑りや切れが発生し、その部位によって波及する不具合も異なります。
【過度な緩み、ベルト切れ】
【過度な張り】
ベルトの緩みは調整不良以外に、ベルト自体の伸び(初期伸び、摩耗、劣化)が原因です。
ベルトに掛かる負担やサイズ等からエアコンベルトとパワステベルトはあまり不具合に至るケースが少ないように思います。一方ファンベルトは不具合が比較的多く、またオーバーヒートやバッテリ上りなど深刻な不具合に発展するため、定期的なメンテナンスが必要です。
部位 | 適用 | メーカー | 部品番号 *3 | 仕様/備考 |
ファンベルト*1 (直結ファン4枚羽根仕様) |
前期 | 日産純正 | 11720-E3001 | 長さ:900mm |
バンドー化学 | RAF2355 | 長さ:900mm 2FM型 | ||
中後期 | 日産純正 | 1720-P0300 | 長さ:915mm | |
三ツ星ベルト | MPMF6350 | 長さ:890mm 6A型 | ||
バンドー化学 | RAF3350 | 長さ:890mm 3A型 | ||
ファンベルト*1 (ファンカップリング7枚羽根仕様) |
前期 | 日産純正 | 11720-E3010 | 長さ:870mm |
PITWORK | AY160-VM340 | 長さ:864mm | ||
バンドー化学 | RAF2340 | 長さ:864mm 2FM型 | ||
中後期 | 日産純正 | 11720-P0305 | 長さ:885mm | |
PITWORK | AY16N-VH871 | 長さ:871mm | ||
三ツ星ベルト | MPMF6345 | 長さ:876mm 6A型 | ||
バンドー化学 | RAF3345 | 長さ:876mm 3A型 | ||
エアコンベルト*2 | ALL | 日産純正 | 11920-P0301 | 長さ:1335mm |
三ツ星ベルト | REMF8520 | 長さ:1320mm 8B型 | ||
バンドー化学 | HDPF5520 | 長さ:1320mm 5B型 コグベルト | ||
パワステベルト | 前期 | 日産純正 | 11750-E3001 | 長さ:700mm |
バンドー化学 | RAF3265 | 長さ:673mm 3A型 | ||
中後期 | 日産純正 | 11750-P0300 | 長さ:715mm | |
バンドー化学 | RAF3270 | 長さ:685mm 3A型 | ||
アイドラーベルト*2 (パワステ付かつエアコン無し専用) |
ALL | 日産純正 | 11921-E3000 | 長さ:1084mm |
三ツ星ベルト | REMF8420 | 長さ:1067mm 8B型 | ||
バンドー化学 | HDPF5420 | 長さ:1067mm 5B型 コグベルト |
*1: クーリングファンの仕様により、どちらかの選択になります。
*2:
エアコン(クーラ)有無で、どちらかの選択になります。パワステ無し車にはどちらも使用しません。
*3:
部品番号は後対応番号に変更されている場合があります。特に日産純正部品番号は230生産時のもので、この後何回も変更されている場合があります。
〜〜 部品番号で長さが表示されている場合 〜〜 PITWORKとベルトメーカーの品番の下3桁は長さで、品物によってミリ表示、インチ表示があります。インチ表示が圧倒的に多いのでピンときませんが、1インチは25.4mmなので換算できます。 MPMF6345 ⇒ 34.5インチ = 34.5 x 25.4 ≒ 876mm |
〜〜 ベルトの長さに関する考察 〜〜 上表では日産純正部品(PITWORKを含む)他に、各ベルトメーカーである三ツ星ベルト、バンドー化学の部品も掲載しました。純正品はほぼ全部(?)製廃になっていますがこの2社のいずれかで何とかなります。これらは社外品というより、純正品を生産しているサプライヤであり、自社ブランド扱いで発売されているものです。実質純正品と同等。日産純正部番から2社の適用品番への関連付けは少し調べると出てくるのですが、大抵長さが違います。傾向的に長さの関係は 日産純正(パーツカタログ記載の長さ) > PITWORK > ベルトメーカー自ブランド品 となっています。しかしパーツカタログに記載されている長さを信じると長すぎる傾向があることが判りました。部品番号で互換性のある番号を信じたほうが良いです。 |
点検項目は3つ。張り具合と亀裂、摩耗です。1〜2年に一回は点検したいです。
注意!!
作業時は必ずエンジンは停止状態で実施してください!!
簡単です。押すだけ。と言ってもおおよそ決まりがあって、「10kgで押したときの撓みが約1cmであること」です。撓み量が多くても少なくてもNG。
ここで「10kgで押す」の感覚が判らないと思います。この場合、事前に体重計を使って指で10kgになるように押してみてください。これで手加減を覚えておいてから、現車で点検するとよいと思います。
エアコンベルトはプーリの間隔が長いので、自然と撓み量が大きくなります。「10kgで押して1cm」はやや張り過ぎ感もありますので、個人的には10kg3cmでもいいかなと思っています。あくまでも個人的意見・・・
もし撓み量が規定値から大きく外れる場合は調整が必要です。また、張り点検前に滑り音が発生してゴムが焼けるニオイまで発生させてしまった場合、張り点検で緩い状態でも基本的には張り調整ではなく要交換です。ベルトが熱劣化で傷んでいますので、張りが正常でも滑りやすかったり切れやすい可能性があります。
できれば外してやりたいですが、装着状態で目視点検をします。当たり前ですが切れかかっていたら即交換です。ベルトは輪にするために接合部があります。接合部は他の部位より弱いので劣化したベルトはそこが剥がれているケースもあります。装着状態でも亀裂が判るレベルなら早急に交換したいところです。
ベルトをプーリから外した状態で点検する場合は、装着状態とは逆側に反らせたときに亀裂が確認された場合は、劣化が進んでいて間もなく寿命と判断できます。
ベルトが摩耗して細くなると、プーリにどんどん食い込んでいきます。この現象はプーリが摩耗して溝が広くなった可能性もありますので、どちらが原因かは見極めが必要です。多走行車や長期間張り過ぎだった場合はプーリも怪しいとも。一般的には柔らかい材質のベルトが先に減っていきますので、@ベルトが緩くなった、A亀裂がある、Bプーリに食い込んできた、の3点該当なら交換で良いかと思います。ベルトが痩せてプーリに底突きすると、張りを適正にしてもベルトは滑ります。年数/キロ数での判断はベルトの仕様や年間走行キロにもよりますので、一概には言えません。
注意!!
作業時は必ずエンジンは停止状態で実施してください!!
ファンベルトの張りは、オルタネーターの固定位置で調整します。オルタネーターの固定ボルトは上部は1か所、下部は前後2か所です。
エアコンベルトはアイドラープーリで調整します。ファンベルトより簡単です。このベルトは個人的にはあまり張り過ぎない(ちょい緩め)ほうが良いかと思います。とはいえ緩すぎるとバタついてファンプーリに当たるので要注意。
パワステベルトはファンベルトと似た調整方法ですが、必ず事前にエアコンベルトの調整は済ませてから実施します。この順番が逆になると、パワステベルトの張り具合が狂います。このベルトもちょい緩めで大丈夫です。
ベルトの交換時期はおおよそ7年/7万キロ毎が目安といわれています。ファンベルトは無理せず早目の交換がオススメ。旧車になると距離は伸びませんから、4〜5年毎くらいがよいかも。パワステベルト、エアコンベルトはもともと負荷がそれほど大きくない割に太いベルトなので結構頑張ってくれます(10〜15年程度)。交換方法は 調整方法がわかれば(できれば)交換は比較的簡単です。以下は注意点。