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パワステ パワーシリンダオイル漏れ修理

掲示板からの抜粋です。時系列は掲示板とは逆で、上から下に向かって進みます。また、本題と関係ない箇所は省略しています。


パワーシリンダ分解

  投稿者:佐藤  投稿日:2021年10月 8日(金)19時47分22秒 p0241744-vcngn.sitm.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp
 
  ながた様こんばんは。いつもお世話になっております。
パワステ話たけなわではございますが、自分も中古のKYBのパワーシリンダを分解してみました。
分解といってもカシメを起こしてロックナットを回せばもう分解できたようなものですが、カシメを起こす際にその部分にあるネジ(M42ピッチ1.0)も潰してしまうので、再び締めてフタをする際に難儀します。また結構な力で締まっている(固着している?)ので、しっかりと据え付けられた万力に固定して作業した方が良いと思います。もともと非分解前提の部品ですので、自分としましてもお釈迦になってもしょうがないか、の覚悟で臨みました。
ロックナットを緩めシリンダからピストンを引っこ抜いて出てきましたのは以下の4つのゴム部品でした。
@シリンダ先端のソロバン玉型ダストシール(?)外径24、内径12.5、幅8ミリ
Aベアリング部に着く大径Oリング 外径41.5くらい 線径3くらい
Bベアリング内部の小径Oリング 内径12 線径2くらい
Cピストンシール 外径35 内径30 厚さ3ミリ
でした。ベアリングの大Oリングは断面が三角形で不思議な形をしておりましたが、長年の使用で元々O型だったものがベアリング角に合わせて三角に変形したものだと思います。
このうち@ソロバン玉型ゴム部品とCピストンシールは規格品があるか無いかわかりませんが、オイル漏洩防止の直接的な役割を持つベアリング関連の大小OリングABは規格品がありますのでオイル漏れの際にはこの2点の調達、交換で止まるのではないかと思います。
取り急ぎ分解、寸法取りの結果を報告させていただきました。今は元通りにフタをしてあります。
パワーシリンダの分解はあまり推奨される行為ではないかもしれませんが、何かのお役に立てば幸いに存じます。




これは初見!

  投稿者:ながた(管理人)  投稿日:2021年10月10日(日)00時00分23秒 210-194-192-103.rev.home.ne.jp
 
  佐藤さん>これはすごいですね。私は分解はしたことがないですし、画像でも見るのは初めてです。
パワーシリンダの不具合は大半がオイル漏れですが、ロッドの異常(曲がり、腐食による凹などの損傷)以外はオイルシール系の不良だと思います。となるとこれらのOリングを交換してキチンと組み立てができれば復活できそうです。また、@とCは専用品っぽい気がします。@は砂塵拭き取りの用途っぽいですね。
Oリングは既製品で簡単に確認したところでは、Aは外径40.7mm、線径3.5mm、Bは内径11.8mm、線径2.4mmが近いのかなぁ、と思います。CはOリングで外径34.7mm、内径27.7mm、線径3.5mmあたりで代用できそう、などとの推測もできそうです。
外したものだと、摩耗や伸び、変形で少し狂いますので判断に迷いますね。

ちょっと質問ですが、M42ネジのナットを回した時の工具ってなんでしょうか?

あと、これは保存版確定にしたいので、投稿コーナーにアップさせていいただきます。


使用工具

  投稿者:佐藤  投稿日:2021年10月10日(日)00時44分29秒 p0241744-vcngn.sitm.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp
 
  ながた様、こんばんは。
投稿コーナーの件了解いたしました。
M42のフタを回し開ける為に使用した工具ですが、マイナスの貫通ドライバでフタに2ケ所広く深めに切ってある溝を叩いて緩みが出たところをディスクグラインダの刃交換などで使うアジャストピンレンチで回して開けました。
ちょっとコツが必要で、うまく回さないとレンチのピンがフタに切ってある溝から脱線したりします。たぶんこういう作業の専門業者はフタを開ける専用のしっくり使える工具を持っていたりすることでしょう。先端の凸部が溝の凹部にしっくり嵌って回せる長い筒状のレンチソケットとか…
また閉じる際はベアリング部にあるスプリングが利いているのと、カシメを起こした際にネジの取っ掛かり部分が潰れているので上から押さえつけながら回さねば再びフタが締まりません。
以上使用した工具についてでした。よろしくお願い致します。

追記、Cのピストンシールリングの代用ですが、嵌めた時の外径が35.5が限界のようで、それ以上だと再びシリンダーに入りませんですし35.5でもかなり窮屈です。一応35.5なら腕力によるロッドの伸ばし縮めは苦しくても工場のエアーガン等の圧搾空気でも伸び縮みしますので、油圧なら楽勝かと思います。
ですので引っ張って嵌めた際の内径拡大のしわ寄せがなるべく外径限界値突破まで及ばないOリングを選ばねばなりませんが、いろいろ試したところ内径27.7線径3.5は嵌めると外径が大きくなりすぎてダメでした。試すうちになんとか収まったのは線径3.5の既製品の中では内径最小クラスの外径28.7内径21.7の物で、これを無理やり気味に引っ張って(引っ張ったことにより細くなって?)入れてやっと外径35.5に収まり、再びシリンダに入れることが出来ました。
また、バイク用などのピストン外径30用のキャリパーシールなど代用に使用できたりしないかな?などと考えております。



やはりそうですか

  投稿者:ながた(管理人)  投稿日:2021年10月10日(日)10時56分16秒 210-194-192-103.rev.home.ne.jp
 
  佐藤さん>ありがとうございます。やはりそうですか、私もタガネ系の工具で最初叩いて、後半はトルクがあまり掛けられませんが形状が近い、カニ目レンチ風のもので行くしかないのかなと思っていました。
油圧機器の修理業者なら専用工具を持っている可能性はありますね。

Cの代用も参考になります。分解前と同じレベルだと組付けた後、手で伸縮できるようにはしたいです。

今回もありがとうございました。保存版にさせていただきます。また何かありましたらよろしくお願いします。


分解パワーシリンダ試用

  投稿者:佐藤  投稿日:2021年10月25日(月)22時28分38秒 p0241744-vcngn.sitm.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp
 
  ながた様、こんばんは。
例の分解したパワーシリンダですが、内部のゴム部品を以下の物に交換して試用を開始いたしました。

@ソロバン玉型ダストシール → NOK「DKI 12.5 23 5 7」内径 12.5mm、外径 23mm、幅 7mm
https://www.monotaro.com/p/3522/0114/
Aベアリング部大径Oリング → NOK「4DP35」内径 34.7mm、線径 3.5±0.1mm、外径 41.7mm
https://www.monotaro.com/p/1110/1282/

Bベアリング内部小Oリング → すいません、手元にあった詳細不明の内径12線径2のちょうどいいOリングです。

Cピストンリング → NOK「AS568-123D」内径 29.82mm、線径 2.62±0.07mm、外径 35.06mm
https://www.monotaro.com/p/3798/5071/
Aの大Oリングは後で外した古いOリングと比較したら
NOK「AS568-127D」内径 36.17mm、線径 2.62±0.07mm、外径 41.41mm
https://www.monotaro.com/p/3798/5114/
これの方が寸法的には近似だったと思います。まあ漏れなければ結果オーライということで…

Cのピストンリングは丁度良い物が見つかりました。
新しく馴染みのないゴムのギクシャク感はありますが、これなら手でも軽い力で動きます。
本来用途が固定用なのが気になるところですが、無いよりマシ、かしら…

交換後、下道走行で100q以上走りましたが今のところ漏れなど異常はございません。

一方本体の分解とは関係ないところですが、今回の試用シリンダに付いていたホースをそのまま使ったら、シリンダ縮め側のホースがお疲れだったご様子でカシメの所からオイルが滲んできましたので、ホースだけは元のシリンダの物に戻さねばと思います。また交換してエア抜きすることを考えると憂鬱ですが、このホースも何か市販品で置き換えられたりしないかな、などと考えたりしております。
以上でございます。また異常等ございましたらその旨書き込みさせていただきます。宜しくお願い致します。


レス

  投稿者:ながた(管理人)  投稿日:2021年10月27日(水)22時36分8秒 119-171-148-201.rev.home.ne.jp
 
  佐藤さん>情報ありがとうございます。事例としてかなり貴重です。
前回の書き込み分とともに保存版とさせていただきます。

ホースなのですが、油圧機器の修理業者ならホースだけ交換してくれそうです。パイプの部分は再利用で。カシメが二重?三重?なのがポイントですね。
市販のホースだと接手がなかなか合うのが見当たりません。

エア抜きはギヤボックス内蔵のパワステと違って、エンジン停止での左右操作で8割方エア抜きが完了してしまうので、楽な部類です。というのを自分に言い聞かせながらやってください(笑)


<<管理人より>>

2021年10月の掲示板投稿記事より抜粋しました。パワステオイル漏れの修理は基本的にASSY交換となりますが、ポンプに続きパワーシリンダまで分解修理する事例報告をいただきました。

ロッドに錆や打痕、曲がりがなけれな再生可能なことがわかりました。肝は蓋の脱着と部品選定で、機械修理のスキルと工具がある程度そろえば何とか可能だと思われます。とはいえ通常の自動車整備では絶対やらない内容です。

佐藤さん、情報ありがとうございました。

 

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