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日産純正部品の買い方

旧車維持に避けて通れない?のは部品購入。「純正部品ってどこで買うの?」初めはみんなこう思うハズ。部品の購入は一般的に整備工場などプロが行うものなので知られていませんよね。ここでは素人の日産純正部品の買い方についてお話しします。

 

1.購入できるお店は?

大きく分けて3つあります。

  1. 日産販売会社(ディーラー)
  2. 日産部品販売会社(略して“部販”って言います)
  3. 部品商

どこで購入しても価格は一緒。オススメは部販。メーカー系ですし、部品のプロですから。しかし一部地域の部販では「素人お断り」の会社もあります。

 

2.どうやって購入するの?

部品はどこのメーカーでも「部品番号」というものがあって、それでやりとりされています。例えば「セドリックのブレーキパッド」といっても年式、車両型式、エンジン仕様、グレード等で何種類もあるので、それぞれ番号をつけて管理しているのです。

日産純正部品番号は

12345-A6789

という感じで10桁(稀に12桁もあり)で表現されます。となると、この部品番号が判らないと購入できないのか?? もちろんそうですが、末端のユーザーはお店の窓口で検索してもらうことになります。

部品番号間のハイフンについて:
購入した部品のラベルを見ると部品番号は5桁-5桁でハイフン(-)で区切られています。前半5桁は部品名、装着部位を意味し、後半5桁は適用車種、開発順序、メーカー差異などを意味しています。この間のハイフンは市場流通用に便宜上追加されたもので、パーツカタログやパッケージに貼付されるラベルに記載されています。しかしメーカーの中ではハイフン無しの半角スペースで記載されるのが一般的です。したがって部品自体に打刻、印刷等で記載された部品番号にはハイフンは入っていません。
【ハイフン有の例】
【ハイフン無しの例】

部品番号の検索には、資料(パーツカタログ)が必要。購入できるお店にはその資料があります。車種にもよりますが、おおよそ昭和62年以降の車種ならばCD-ROMやDVDの検索ソフトを使いパソコンで。しかし、80年代以前の旧車となるとマイクロフィッシュ(マイクロフィルム)や紙資料で検索するしかなく、痛みも多い事から処分されてしまっています。後年、マイクロフィッシュや紙資料をPDF化した旧型車専用のパーツカタログが代替品として部販等で使用されているようです。

部品番号を検索してしてもらうには、買う側も準備しなくてはならない事があります。それは番号を絞り込むための車両情報です。これは検索するときの資料によって異なりますので、下表をご覧下さい。

  昭和60年頃に現行車だった車種以降 左記以前の旧車
必須項目 車台番号 車両型式、エンジン型式、初度登録年月
注文する部位に応じて オプション装備、実車の装着部品
(稀に→も)
ミッション仕様、グレード、オプション装備、車台番号、内外装色 *1
使われる資料
(パーツカタログの仕様)
“FAST”(CD、DVD) 紙資料、マイクロフィッシュ、DVD*2
*1: 部品によっては特定部位の特徴(色、製造番号など)、エンジンのユニット番号など、突っ込んだ仕様を提示しなければならない事がある。
*2: 市場で劣化したり廃棄処分されている紙資料、マイクロフィッシュの代替用として2002年に登場した資料。
ただし、マイクロフィッシュをスキャニングしPDFファイル化しただけのものなので、検索機能を有したFASTとは全く異なる。

車検証があればだいたい絞り込めます。旧車ではそれでもダメなことがあるので注意が必要です。特にマイクロフィッシュや紙資料ベースの旧車の部品番号検索は、たとえプロであってもかなりのテクニックを要求される仕事なので、買う側も考慮してあげるべきではないでしょうか。

 

 

3.部品はあるかな?

旧車はなかなか新品部品が手に入り難い場合が多いです。日産の経営改善等でシワ寄せが旧車専用部品の供給にでており、製廃(製造廃止)が急増しています。

よく「○×部品ありますか?」と尋ねると、「ありません」と言われる事がありますが、「ない」にもランクがあります。

「ない」と言われてもこれだけ種類があります。だから「ない」=「もう入手できない」とは限りません。
中にはお客(または車種)を見て、かかわりたくないからとりあえず「ない」と答えるところもあるので要注意です。まぁ、調べる気がない事になるので、そんなところでは買いたくありませんけど。

部品供給状況をまとめると次のようになります。

供給パターン 在庫 追加生産 発注 備  考
1 アリ  
2 アリ 不可(製廃)  
3 ナシ

諦めるのは早い。バックオーダーを掛ければ再生産してくれる!

4 ナシ 不可(製廃) 不可 俗に言う「製廃」とはこの状態。入手は大抵不可だが、再生産の申請も出せる場合があるらしい(?)

特にディーラーや部販社内の新品部品の在庫は、あまりアテにしないほうが良いです。在庫は極力少なくする考えで管理しているので回転率の高い部品しか在庫しないのです。基本はメーカーから取り寄せると思っても良いでしょう。
しかもメーカーにあったとしても1個なんてことも少なくはありません。出荷実績があまりよくない部品は、在庫期間の長期化による品質劣化などで使い物にならなくなることを恐れて、少ロット生産で留めてあまり在庫しないのです。反面、受注生産に近いので入荷までのレスポンスが悪いです。だいたい2ヶ月くらいのパターンが多く、1年半ってことも過去にありました。出来たてホヤホヤのが来る訳ですから多少はガマンガマン。でも一長一短ありますね。
とにかく、メーカーにも全国各地の部販にも在庫が無くてもパターン3の状態ならば諦めずにメーカーへバックオーダーを掛ければ作ってもらえます作ってもらえるといっても別に特別注文になる訳ではありません。あくまでも極普通の発注の範囲内の「在庫切れ部品の再(追加)生産扱い」で行われます。
逆に恐いのはパターン2。在庫切れとなればパターン4になるので「まだ在庫があるから安心」だと思わないで下さい。
また、2000年頃以降製廃となった部品は“仮製廃”の場合もあり、再生産の要望を出せる可能性があります。とりあえず製廃にしてみて、市場からの要望が強いヤツだけ復活させると言う考えなのかもしれません。それなら粘って見る価値はありそうですね。

 

4.バックオーダーとキャンセルと返品

部販でバックオーダーを掛けてもらうよう依頼すると渋られることがあり、ひどい場合はワザとトボケられることも。これにはキャンセルと返品に訳があるのです。

キャンセル、返品は問題なく受け付けてくれる商品が非常に多いですね。しかし、日産純正部品は購入するお店の在庫品を除き、注文したユーザーの為にメーカーから仕入れた部品(専門用語で「引当て部品」)は、メーカーに対してはキャンセルも返品も出来ない規則があるのです。品質クレーム以外で、ユーザーの一方的都合でキャンセル、返品された部品は仕入れた会社の責任で在庫しなければならないハメに。よく引き合いのある部品なら問題ありませんが、殆ど見込みの無い旧車部品などは即、死蔵品(デッドストック)・・・・

デッドストックを増やす事は業績悪化に直結します。バックオーダーを掛けて入荷まで時間が掛かる場合は、素人の来店客だと途中でキャンセルされたり、引き取りに来なかったりする事が多いことから、嫌がられてしまうのです。

素人客がバックオーダーを依頼するには・・・

がコツではないでしょうか? 「その部品が入手できなければ困る」と涙するのも手段かも。男じゃダメだろうなぁ(爆)
一番綺麗なスタイルは、馴染みの客になり信頼関係を築く事だと思いますよ。

その他、素人客とのトラブルでありがちなのは、部品の取り間違い。プロ同士でも結構あるので、素人相手ではなおさら。注文をする側、受ける側のやり取りが不十分であったが為に、違う部品が来てしまった・・・・ 買う側としてはそんな部品は要らないし、売る側としても引当て部品なら返品が効かないし・・・・
部品番号の検索をしてもらう際、「2.どうやって購入するの」に挙げた部品番号絞り込みにかかわる情報は十分に伝えるのはもちろん、特に部品名称だけで特定するのは紛らわしい場合が多いので、極力窓口の担当者の方と一緒になってイラストを確認しながら決定していきましょう(と言ってもマイクロフィッシュでは難しいです・・・)。

もう一つ、問合せ事例で・・・

などを聞く方がいらっしゃいます。当HPの「実験君」みたいなことをするなら必須かもしれませんよね。
でもこんな質問をしたところで、大半は回答してはくれません! コレ、ものすごく難しいのです。
技術的な検討を要することが多くあって、部品屋さんには分からない場合がほとんど。部品番号上の互換性の有無以外は調べてくれません(調査手段も無いので)。私は実際に仕事でムリに突っ込んで調べた経験(ほうぼうの部署&会社を巻き込んで大騒ぎすると言う、迷惑極まりない事が多々・・・・)がありますが、設計・開発部門にしか分からない項目は大半が社外秘で、仮に分かったとしても改造&仕様変更絡みだと、実際にやってみないと分からなかったり(メーカーだってやっていない内容では当たり前ですね)、装着後の保証の問題など、非常に困難を極めます。
「(↑のような)問合せをしたら、『分からない』の一点張りで取り合ってもらえなかった」とグチめいた話も耳にします。これはディーラーも含め、大抵は不可能に近い仕事ですので仕方ありません。くれぐれも逆ギレなさらぬように・・・

また部品注文方法は来店が基本です。既に部番が判っていればTEL注文は出来なくもないですが、間違いを誘発するのでマナー違反です。普段、直接部品番号で注文するプロであっても、記録が残らない、部品番号にあるアルファベットの聞き間違いが多い(例えば「P」が「T」に聞こえたなど)理由から、最低でもFAXで行っています。



 

5.代替部品

自分でパーツリストを入手し、予め部品番号を検索してから部品を買いに行く・・・
このような方も中にはいらっしゃいます。お店としてはこんな楽なお客はいませんよ(笑)
そこでこんな経験はありませんか?

設計や材質、性能などの改善・統廃合があったり、製造する部品メーカーがかわったりと、いろいろな事情で部品は変更され、番号もそれに伴なってかわって行きます。軽微な変更はそのまま番号変更ナシの場合もあるものの、番号変更は比較的多く行われます。似たような形状の部品を沢山発注する時には、どの番号が何に代わっているのかを部品受取りまでに確認したほうがいいでしょう。

また、新旧の番号を双方知ってしまった事で、どちらで注文すべきか迷ったら、取り付ける車両に適合する最も旧い部品番号で注文すれば間違いありません。必ずしも新番号で供給されているとは限らず、例えば・・・

なんて言う場合、気を利かせて新番号で発注すると「製廃です」で終わってしまう事が極稀ですが実際あります。つまり、旧番号から新番号は追跡が容易ですが、逆はダメな場合がほとんどなんですね。旧番号ならば番号が2度3度代替されていてもその変遷が調べられるので、どれで入手出来るのかがわかるのです。

 

 

素人客とのトラブルが絶えず、業者以外には販売しなくなった部販もあるようです。ここでは売る側、買う側双方の立場を考えつつ、自分なりにまとめてみました。
自分でメンテナンスする方には欠かすことの出来ない純正部品購入、スムーズに注文出来るようになれたら良いですね。

 

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