適用車種 | コンピュータ制御エンジン以外に広く応用可能 |
難易度指数:1 | 金欠でもレギュラーはダメです(笑) 対象は旧車のみ。現代車は効果薄です。 |
「チカラがないのは分かっている。でももう少しなんとかならんか・・」という事でよくハイオクガソリンを入れている方がいらっしゃいます。でも、果たして効果は・・・「?」だと思います。まぁ、清浄効果に期待されておられる場合もありますが、それだけでは勿体無い! ここでは手軽にハイオクの効果を引き出す方法のご紹介です。
ご存知のようにハイオクガソリンはレギュラーよりノッキングが起きにくくなっています。燃焼効率をアップさせるために圧縮比が高くなっているエンジンでは、ノッキングが起きやすいのでハイオクが指定されています。だからハイオクのポテンシャルを十分引き出すにはエンジンを加工して圧縮比を9.5〜10程度にしてやらなければなりませんが、圧縮比はそのままでも、周辺の設定を変えればある程度は引き出せます。その設定とは・・・・点火時期です。
点火時期は指定燃料や圧縮比、燃焼室形状等々によって決まってきます。古い考え方だとノッキングする直前まで進めると良いと言われてきました。確かにアイドル中に点火時期を変化させていくと、進み方向で回転が上がって行きます。しかし進み過ぎるとノッキングが発生してエンジンを痛めます。そこでハイオクを入れて点火時期を進めるのです。
230の時代=1970年代前半のL型6気筒エンジンの点火時期を見ていくと、下表のようになります。
L20ツイン(〜73.2) | L20シングル (〜73.2) |
L26(〜73.2) | L20(73.3〜) | L26(73.3〜) | ||
ハイオク | レギュラー | |||||
M/T | 17/650 | 10/650 | 10/550 | 10/550 | 10/650 | 8/650 |
A/T | 17/700 | 10/700 | 10/650 | 10/650 | 10/700 | 8/700 |
*: ハイオク・レギュラーの表記のないものはすべてレギュラー仕様
上の表のように、ハイオク仕様のエンジンはレギュラー仕様と比べると、クランク角度にして7度ほど早めになっています。ですから、コレに倣って進めてしまいます。
デスビの取付けボルトを10ミリのスパナで緩めます。
デスビに調整目盛があるので、それを見ながら本体を回転させます。Rは「Retard=遅らす」、Aは「Advance=進める」の意味ですので、Aの方向に動かします。そして、一目盛りはクランク角で5度。7度進めるにはデスビを時計方向に一目盛り半、動かすことになります。
次に先ほど緩めた取り付けボルトを締め込んで終わり。別にスパナでギュッとやらなくても、プラスドライバでも締められるので、そのほうが手軽です。
デスビ調整目盛を見ただけでは点火時期の「進んでいる」「遅れている」の判定はできません。上の画像の位置と大幅にずれていても、点火時期が狂っているとは限らないのでご注意下さい。この目盛は「単に点火時期をずらす時、その方向と移動量を参考にする」程度の意味しかありません。 |
点火時期を進めると、アイドリングの回転数が50〜100rpmほど上昇します。これは出力が上がった証拠。そのままでもいいですが、上昇分の回転数をキャブのスロットル アジャスト スクリューで落とせば燃費向上にもなります。
右フェンダ側から覗き込んで、エアクリーナケースとエンジンヘッドカバーの隙間から長めのドライバーでスロットルアジャストスクリュー(画像でもドライバーを当てています)を回します。緩める(反時計回り)と回転は下がります。
73年3月以降のみにある、アイドルスピードスクリュー(指を当てている)を回します。シングルキャブとは逆に締め込む(時計回り)と下がります。下げ過ぎに注意。
点火時期を測るにはタイミングライトを使用します。整備工場などで借りることができたら、配線をつないで矢印の部分を照らし、クランクプーリのタイミングマーク(切り欠き)がエンジン本体にある目盛板(矢印)の17度の位置で光る事を確認します。
なお、画像は72年7月のマイナーチェンジ以降のものですので、それ以前のクルマのタイミングマークはオルタネータがついている側(右フェンダ側)にあります。更に切り欠きと目盛板の関係が逆で、プーリ自体に目盛があり、エンジン本体側に一本の針がついています。
加速フィーリングは、若干ですが向上します。そして通常走行時のアクセル開度が減るので燃費[km/L]も向上します。レギュラーガソリンで6.7km/Lだったのが、ハイオク+上記調整で7.5km/L程度になりました。これなら燃料単価上昇分はほぼペイできていると思うのですが・・・
と言うことで、計算してみました。
ガソリン単価 [\/L] | 燃費その1 [km/L] | 燃費その2 [\/km] | “燃費その2”の 変化率 [%] |
|
レギュラーガソリン | 124 | 6.7 | 18.5 | - |
ハイオクガソリン | 135 | 7.5 | 18.0 | +2.7 |
1キロ走るのに何円かかるか?と言う“燃費その2[\/km]”は、3%弱の改善です。これに加速フィーリング向上のオマケが付くので、ペイどころか、お得になっていることになります。
また2005年以降、ガソリンの価格が上昇しています。そこで私は点火時期等のセッティングはそのままで、レギュラーを少し混ぜるようにしています。割合は、ハイオク:レギュラー=1:1〜3:2くらい。ノッキングはホンの少し出やすくなりましたが、通常運転であり得る程度です。また運転性、燃費[km/L]には殆ど影響ないようです。
以上の効果は230で測定したものです。L20エンジンにシングルキャブレータを装着した場合での数値になりますので、環境や車両の状態、運転方法等々で異なります。特に燃料噴射と点火がコンピュータ制御になっている今の車両では、ここまで見込めません。
このような調整をした後は、常に50%以上のハイオクガソリンが入っている状態でないとダメです。いくらお金がなくても(笑)
レギュラーの割合が大きくなると、常時ノッキングが出るようになりエンジンを壊してしまいます。ノッキングは異常燃焼のひとつなので、事情があってレギュラーを入れるならば、その都度点火時期を元に戻して下さい。
もうひとつ、車検整備に出す際、「ハイオクを入れているから点火時期は17度にしておいて」と申し出ておきましょう。でないとノーマルに戻されてしまいます。
ポイント焼損防止コンデンサの交換時など止む無くデスビを外す時は、デスビの目盛位置をマーキングするなどしてから、4の画像のように取付けボルト1本を外せば引き抜くことが出来ます。取付けはデスビのシャフトが噛み合う箇所は1ヶ所しかないので、噛み合ったら目盛を元の位置に合わせ、ボルトを締めます。
比較的初期のへたりの時の対応方法ですが、点火時期を5〜10度遅らせて(1〜2目盛りR方向に回して)からクランキングします。すると連続してセルが回るようになり、始動できます。始動したら元の位置に戻します。ちなみにこの手段、コンピュータ制御のクルマは自動的にやっているのです。