適用車種 | 130(後期) |
難易度指数:2 | ハーネス&リレーを追加して回路を変更する手法。 取付自体は簡単です。ラジエータの下にくぐらす以外は・・・ |
旧車のヘッドライトはどれも暗いですね。セドグロ系も例外ではありません。「シールドビームだから・・・」なんて思うのは早合点で、ライトの性能云々の前に、ヘッドライトに掛かる電圧が12Vではなくなっていることに着目します。だいたい10V前後でしょうか。こんな状態でハロゲンにしても効果半減。それどころかハロゲンバルブはシールドビームよりワット数が大きいので更に危険な状態に!
バッテリーやオルタネータからの電圧12Vの電気は、ヒューズ、ライトS/W、ライト切替S/W(ステアリング部)、ライトリレー各接点やそれらのハーネス、コネクタ類で生じる接触抵抗等で電圧が2V前後低下してしまうのです。電気抵抗が生じる部分には必ず熱が発生し、電気エネルギーが熱になって消費されます。ですからあまり酷い場合はその熱で溶損などの事故に至るのです(実際にヘッド・スモール切替S/Wが溶損し、ヘッドライトがONまたはOFF出来なくなるトラブルは散見されます)。
しかも130の場合はヘッドライトの主電流が室内まで引っ張られ、エンジンルーム内でも右へ左へとワザワザ遠回りする回路になっていて、電圧降下を助長しています。
また、130にはパッシング機能がまだありません。今の交通事情に合っていないばかりでなく、最近の車検検査ラインのスピードメータ検査は、目標速度到達時の合図にパッシングを使用するシステムとなっており、ぜひとも必要な機能といえます。
そこで・・・・
と言う事でハーネスを作成することにしました。
汎用品で強化ハーネス&リレーというモノを見掛けますが、それをヒントに130専用品の作成です。作成にあたり、
の7点について気を使ったつもりで試作してみました(笑)
上の図は構成図で、エンジンルームの前側だけを通ります。電源はオルタネータから取っていますが、バッテリーから取らない理由は後で述べます。下は、構成図と同じような感じに現物を広げたところ。
まず初めに一番イヤな作業から(笑)
ラジエータの下にハーネスを通します。エンジンルームを横断する場合、キッチリやるならココです。
左右2個ずつあるクーラーコンデンサと共締めのラジエータ取り付けボルトを外し、少しラジエータを後方にずらせて隙間を作りハーネスを入れます。次にバンパーも前方にずらして、矢印の部分に隙間をつくり、そこに手を突っ込んでハーネスクリップに固定します。
次は新設するリレーです。
黒い大型リレーはE24型キャラバン用のライトリレー。1M型、1T型のリレーが2個ずつ合計4個がセットになっています。価格が\4500ほどしますが、汎用のリレーを4個買っても価格的には同じか、かえって高くつくだけでなく、スペース的にも不利です。
もう一つの茶色いリレーはパッシングリレーで、2つの回路を同時制御できる2M型リレー。日産純正の汎用リレーですが、カー用品店では売られていないタイプです。
1M型リレー | 1T型リレー | 2M型リレー |
もっとも基本的なタイプ。コイルが通電すると接点がONになる。 このような接点をメイク(make)接点と言い、「メイク接点が1つあるから1M型」とすると覚え易い。 逆に通電すると接点がOFFするものは1B型(B・・・break)という。 |
接点が2つあって、コイルに通電があると接点が切り替わる。下図の例でいうと、コイルが通電していない場合は上側の接点がON、通電すると下側の接点がONする。1Tの“T”は“turn”の意味。 また、純正ライトリレーのような「ラッチング式」と言うのは、コイルに連続的に通電が無くても一度コイルがON→OFFとすれば接点が切り替わった状態で保持される。逆方向に切り替えるにはもう一度コイルをON→OFFとする。ラッチングリレーは作動音がやたら大きいので、分かり易い。 ちょうど部屋の蛍光灯の器具にあるヒモで引っ張るS/Wと同じ。 |
1Mリレーにもう一つ接点を加えたもの。2つの回路を同時にON-OFF出来る。 |
既存ハーネスを加工するのはこの部分のみ。 右内側ヘッドライト部の2本とも切断して、そこに平端子&2極コネクタを装着します。この部分のライトコネクタのみ既存品を利用し、他の3ヶ所はすべて作成したものに付け替えます。
強化ハーネスにも2極コネクタがあり、↑で作ったコネクタに割り込ませるようにして接続します。
左フェンダ内には4個のリレー群があり、その中にラッチング式ライトリレーがあります。 ラッチング式ライトリレーは6極コネクタが装着されていますが、端子は5本。これを頼りに探せば見つかります。そしてこのコネクターを外します。
ココも外したコネクタ双方に強化ハーネスのコネクタを繋ぎ割り込ませます。 なお右の画像で、白い6極コネクタの下に写っている薄緑色のコネクタのようなモノは逆流防止用ダイオード。 あとはヘッドライトの端子を強化ハーネスのモノと繋ぎ換えて、電源の接続になります。
オルタネータのB端子から電源を取ります。電源取出し口にはヒュージブルリンクを取り付けて安全性を高めました。 また、電源は通常バッテリーから取るのが一般的ですが、130では電流計があるので、その作動を考慮してオルタからとなりました。詳細は以下の通り。
下は電流計の指針の様子。バッテリーから電源を取ってしまうと、ヘッドライトONでプラス側に大きく振れます(下の画像中央)。電気を使う(=充電電流が減る)とマイナス側に振れて欲しいので、この動きでは全く逆。個人的にNG。
そこでオルタネータB端子側から電源を取ると、ホンの少しマイナス側に振れるだけになります(下の画像右)。バッテリーに繋いだ時より振れの大きさが少ないなのは、ヘッドライトに供給される電気の大部分がオルタから発電された電気でまかなわれている証拠。
* バッテリーの充電状況やオルタ性能、エンジン回転数の他、ライト以外の電気負荷等により指針の位置は異なります。
ヘッドライト消灯時 |
バッテリーから電源を取った場合 |
オルタから電源を取った場合 |
操作上の相違点は、パッシングが可能になった事のみ。
ステアリングコラムにあるライト切替S/Wは上から1〜2段目がヘッドライト・スモール切替、2〜3段目(自動戻り)がメーン・ディマ(Hiビーム・Lowビーム)切替となります。そして強化ハーネス取付後はこの2〜3段目がパッシングS/Wも兼用となります。まとめると下表の通りです。
切替S/W(コラム部) | ライトS/W(インスト部)OFF | ライトS/W(インスト部)ON |
1段目 | すべてOFF | スモールのみON |
2段目 | すべてOFF | スモール+ヘッドライトON |
3段目 (手を放すと2段目へ自動戻り) |
パッシング (常時Hiビームで作動) |
Hi←→Low切替 (1回ONするごとに切り替わる) |
この操作方法は230セドグロ等、70年代の日産車でパッシング回路が採用され始めた頃のライトの切替操作と同じですが、それらと比較して以下の点が改善されています。
項目 | 70年代の日産車で採用された回路 | 強化ハーネスの回路 |
1 | パッシング操作時はパッシングリレーの他に、ラッチング式ライトリレーも作動することからメーン・ディマ切替もされてしまうので、2回に1回はディマ(Lowビーム)でのパッシングとなる。 | パッシング操作をしてもラッチングリレーは作動せず、パッシングリレーが直接メーン(Hiビーム)回路をONするので、常時メーンビームでのパッシングが出来る。 |
2 | ヘッドライドOFF時にパッシングをやった後にヘッドライトをONにするといきなりHiビームから開始される事がある。 | ↑と同じ理由によりパッシング回数に関係なく、必ず前回ヘッドライトをOFFする直前に選択されていたビームから開始される。 |
なお、スモール及びヘッドライトON(Lowビーム)時のパッシングはS/Wがメーン・ディマ切替S/Wと兼用している関係上、ライトOFF時と同じ操作では出来ません。これは初期の日産純正パッシング機能と同様です。
ヘッドライトLowビーム点灯時はメーン・ディマ切替S/Wを2回「チョンチョン」と操作して、パッシング風に作動させます。
スモールのみONでヘッドライトOFF時は・・・ヘッド・スモール切替S/Wで瞬間的にヘッドON(大抵Lowビームで点灯するしょうケド)して、それらしく見せるしかありません(苦笑)
ヘッドライトの明るさは・・・?
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上の画像はブロック塀にHiビームで照らした時のものです。両方の画像とも左右のライトの明るさ、特に光の広がり具合が違っているのをお分かりいただけますでしょうか?
右ライトは強化ハーネスを接続、左ライトはノーマル接続です。強化ハーネスを介して点灯している右ライトの方が明るいですね。実験成功!
このハーネスは、ヘッドライトの明るさUPとパッシング機能を追加の2点が特徴です。私の130はシールドビームのままですが、ハロゲンライトにしている場合はシールドビームより消費電力が大きいので、更に効果が期待されます。
今回は回路の公表はしませんが、基本的には市販のハーネス&リレーキットと同じです。パッシング機能追加に関しては独自のモノですので、是非導入したいと言う場合は、個別作成を検討させていただきます。