ホーム > 実験君 > 13. クーラ コンプレッサ カット制御
| 適用車種 | コンピュータ制御エンジンおよびディーゼルエンジン車以外に広く応用可能 |
| 難易度指数:2 | 特性のあったバキュームスイッチを調達できるかがポイント |
旧車のクーラやエアコンはONするとエンジンのパワーがコンプレッサの駆動に取られてしまい、加速・燃費が悪化します。元々パワーの足りないセドグロの2000クラスだと、この影響はかなり痛いです。加速の時だけ、クーラのスイッチをOFFして加速悪化を防止したりする事も可能ですが、自動でできんのか!と言うのが今回のネタです。
実は一昔前まで、汎用品でこれをやる装置がカーショップでも販売されていました。でもコンピュータ制御が当たり前の昨今、加速時コンプカット制御も当たり前になってしまい、こんなものは古(いにしえ)の逸品に。
加速時だけコンプをOFFしたい、一定車速時やアイドル時は普通に動いていて欲しい訳ですが、どこを検知すれば良いのでしょうか? 加速時=アクセルを強く踏んでいる時と言っても良いと思いますが、アクセルにスイッチを付けるのはちょっと微妙です。どれくらいのアクセル開度にするとか、どうやって固定するかとか・・・考えるとスマートさに欠けます(笑)
加速状態を検知するのは、インテークマニホールド内に発生するバキューム圧(負圧)でも可能なのです。負圧はアクセル開度が大きいと小(大気圧に近づく)となり、アクセル開度が小さいと負圧は大(吸い込む力が大)になります。この特性を上手く使っている機構は、実は既にあります。例えばエンジンの燃料供給は、加速時にやや濃い目の空燃比(出力空燃比)にしなければなりません。機械式キャブではキャブ直下の負圧を検知して、キャブ内のバキュームピストンを作動させ、燃料増量用のパワージェットの開閉をしています。一方電子制御キャブではインマニ負圧をバキュームスイッチで検知、コントロールユニットへ入力しています。バキュームスイッチは設定圧力に達したら接点が切り替わり、コンピュータがそれを検知、加速時増量制御の開始を判断します。
今回はこの電子制御キャブの加速時増量制御にヒントを得て、たまたまこれと全く同じ領域で制御することになるコンプカット制御に応用してみます。
なお、今回の装置は単に加速時だけコンプをOFFするモノであり、室内のブロアファンまで停止することはありません。したがって冷房能力にはさほど影響を与えないハズです。
まずは回路図をご覧下さい。
追加する部品はバキュームスイッチと1Tリレー(リレーの種類については、「実験君」の「ヘッドライト強化」のページを参照下さい)のみ。バキュームスイッチは大気圧ではON、バキュームが掛かればOFFします。ON→OFFに切り替わる圧力は、電子制御キャブの加速時増量制御を行うタイミングと同じになるので、コンプをOFFしたいタイミングとバッチリ合います。
上記回路図はキーOFFの停止状態(回路図は本来この状態を書きます)のものなので、キーON時の様子を見てみましょう。
A.アイドル時、減速時、緩加速、定速巡航時など、アクセル開度(スロットル開度)小の時
エンジン回転数の割にスロットル開度が小さい時(軽負荷時)は高い負圧が掛かっているので、バキュームスイッチはOFF。回路上、1Tリレーのコイルへは通電していませんが、この非通電状態で接点ONする側(ノーマルクローズ接点、ブレーク接点などと言う)にコンプ電源線を結線します。するとコンプ回路には電源が供給され、マグネットクラッチが締結します(コンプON)。
B.エンジン始動前(キーON)および、加速時などのアクセル開度(スロットル開度)大の時
キーONでエンジン停止時や、エンジン回転数が低い割にスロットル開度が大きい時(高負荷時)は負圧が低下し、大気圧に近づくと、バキュームスイッチはON、リレーのコイルも通電します。通電するとコンプの回路はOFFし、マグネットクラッチが開放します(コンプOFF)。
使用する部品は以下の通りです。
部品名称 |
日産部品番号 |
備 考 |
| バキュームスイッチ | 22360-01M00 | 解体屋で調達するべき |
| 1Tリレー | 25230-C9971 | |
| リレーブラケット | 25238-65U00 | |
| バキュームホース | B2320-Y4001 | 長尺物(3mくらい) |
| 3way コネクタ(バキュームホース分岐用) | 14961-W1300 |
一応、新品でも入手出来る様に純正部番を挙げておきましたが、私はバキュームホース以外はすべて解体車から外したものを再利用しています。特にバキュームスイッチは5000円以上しますので、解体屋で調達するべきだと思います。
下の右側の画像には、バキュームスイッチの型式が書かれています。これと全く同じなら間違いないのですが・・・
今回のSPDB28-69型はW10、B11〜B13、N13、N14、Y10等、E型やGA型エンジンの電子制御キャブ車に採用されているものです。この番号が1番違えば作動圧も違うかもしれません。電子制御キャブ用の作動圧は大体-80〜-50mmHgくらい。EGR用等は-300〜-50mmHgと適用車種により幅広く種類があります。もしも-200mmHg以下の作動圧のタイプを使うと、ホンの少しアクセルを踏むだけで作動してしまい、走行中は殆どコンプカット状態となってしまいます(経験アリ)。
実際複数入手した場合は、どちらがどれくらいの作動圧なのかは分かりません。一番作動圧が高い(正圧寄り)タイプがアクセル開度が大きい時だけに作動するので、実際付けてみて按配を確認することになります。
また、解体屋で入手する時は、スイッチの取付ブラケットも忘れずに。そして、端子のコネクタ部分も特殊形状なものが多いので、車両側ハーネス(つまり受側のコネクタ)も一緒に切断して来ると良いでしょう。私はうっかり忘れてしまい、コネクタは汎用2極コネクタに挿げ替えをしました(苦笑)
黒いリレーは1T型リレーで、本体に内部回路が書いてあります。解体屋で探す時も色や回路図を頼りに探すと良いと思います。
バキュームスイッチの場合と同じく、リレーブラケット(↑の画像のようなバキュームスイッチのブラケットには、リレーブラケットも一体です。使っていませんが・・・)や、受けのコネクタも忘れずに調達する必要があります。とは言ってもコネクタは省略し、普通の平端子だけで結線しても構いません。
カーショップなどで入手する場合は、良く見かける1Mリレーは使えない事に注意が必要です。ほとんど1Mリレーなので、1Tリレーを探すのに苦労するかも・・・
バキュームホースを分岐させる三つ又コネクタです。径が合えばなんでも良いでしょう。
それほど難しい作業ではありません。部品ごとにいくつかポイントがあるのみです。
なるべくコンプレッサがある側が良いと思います。スイッチには2極の端子がありますが、極性はありません。
バキュームホースはどこから取り出せば(分岐させれば)良いのか、が問題ですが、以下の点に注意すれば良いのではないでしょうか。
結線は回路図を見ながらやることになります。リレー本体には回路図が書いてあり、端子番号も振ってありますから、それ通りに結線すれば問題ないです。
また、コンプレッサへの配線は電源線一本。この系統は容易に発見できるハズです。装着前のコンプレッサハーネスはA/Cスイッチまたはコンプレッサリレーからダイレクトに来ていて、これを途中で切断、1Tリレーを噛ます事になります。
エアコンをONにして走行してみます。普段、コンプレッサがONすればエンジンルームから「カチッ」と音がして、走りが重くなる感触は大抵の方が経験済みのハズです。それを踏まえつつ、以下を確認します。
バキュームスイッチの作動圧が低すぎる(負圧側に大きすぎる)と、「3」と「5」でもコンプがOFFし、コンプがONするのは「2」と「6」だけになってしまいます。この場合はバキュームスイッチの特性を違うタイプに変更しなければ解決しません。
昔あったこの手の商品が売られていた頃は、確か5000円以上してちょっと買う気がしませんでした。見かけなくなってから「買っときゃ良かった」と思ったものですが、今回のようなモノを作るとほぼ同じ事をやってくれます。しかも中古部品を使ってやると千円以内でも出来るかもしれません(笑) バキュームSWの選択が要注意ですが・・・