ホーム > 実験君 > 15. 燃料ガス化装置(スーパーガスターボ)


スーパーガスターボ

適用車種 キャブはほぼ全車 EGI車は製造・販売元へお問い合わせを
難易度指数:2.5 燃費・加速・環境に良いとか

1.目的

日本環境電装と言う会社から発売されている「スーパーガスターボ」は、免許を取る前から雑誌の広告で知っていました。旧商品名は「ブルーガスパワー」だったと思います。燃料の完全燃焼で燃費・加速・排ガス浄化に効果があるそうです。試しに付けたのが90年の事。もう20年ちかく前の事ですが、デカくて重いセドリックの燃費+加速性能を少しでも良い方向に持って行けたら、と思い装着しました。

 

2.からくり

キャブとインマニの間にヒータを設け、キャブで霧化されたガソリンを気化させ、燃焼効率を向上させると言うものです。似た装置は純正でも若干見かけることも出来ます。日産キャラバンE24型のNA20エンジン仕様車には、キャブインシュレータにセラミックヒータが取り付けられています。でも目的は冷機時の運転性を向上させるのが主な目的で、暖機後はOFFしてしまう制御が入っていました。スーパーガスターボのヒータはセラミックではなくコイル。コイルがエンジンの振動で混合気のミキシングを向上させるそうです。

また、スーパーガスターボは空燃比も薄くする事が可能だそうで、燃費も期待できます。ストロンバーグタイプのキャブならメインジェットを絞るよう、指定されています(専用ジェットが製品に付属)。

さらに、カーボンの発生が減少する為、エンジンの寿命が長くなる等の効果があるとも書かれています。ちなみに、このシステムは特許を取得しているそうです。

 

3.構成部品

右が構成部品。ヒータとそれを制御するコントロールBOXがメインで、L20用はサーモスイッチ(画像右下)も付いていました。サーモスイッチにより、ヒータの出力は、冷機時に100%、暖機後は50%程度になるようです。理由は分かりませんが・・・

また、画像にはありませんが、交換用メインジェットもあります。ノーマルの番数より10%ほど小さくさせるようで、ノーマル:#119に対し、#108が付いていました。ジェットの選定はスーパーガスターボを注文時、年式、車種、エンジン型式などを申告する事になっているので、それらのデータから行うようです。

 

4.取付作業

4-1 ヒータ取り付け

キャブの下にヒータを取り付ける為、一旦キャブを外します。インマニのとキャブの間ですが、具体的な箇所は

となります。特にシングルキャブ車ではヒータを追加挿入する為、取付後はキャブ周辺の高さが1cmほど上がります。これに伴い、キャブ取付用スタッドボルトを変更(キットに付属)したり、エアクリケース、ダッシュポット等の固定方法にも多少の細工が必要。




(1)シングルキャブ車のヒータ取付位置その1

(2)エアクリーナケースの高さ調整

(3)シングルキャブ車のヒータ取付位置その2

(4)SUキャブ車のヒータ取付位置

4-2 キャブのメインジェット変更

シングルキャブではプライマリ、セカンダリ双方のメインジェットを変更します。メインジェット脱着はちょっと難易度が高い作業で、失敗するとキャブがオシャカになります。これはジェットはマイナスドライバで緩めるのですが、筒の奥にあってなかなかピッタリサイズのドライバが入れられないから。マイナスドライバは先端から5mmくらいのところで少し径が太くなるので、これがないタイプか、削って加工したモノを使用しないとなりません。下手に小さいサイズのドライバを使うと、真鍮製のジェットを舐めてしまいます。

4-3 コントロールBOXの取付

作動確認用のLEDやヒューズが付いており、装着場所は室内でもエンジンルームでも良いようです。常時電源とIGN電源をこのBOXに接続します。これをつけたら、後はヒータと結線するだけで終わり。


エンジンルームへの取付例
ホントはもうちょっとマシなところに付けたいですが、めんどくさかったもので・・・(苦笑)

室内(助手席側トレー下部)への取付例

4-4 調整

取付後は若干セッティングを変更します。

 

5.効果の確認

スーパーガスターボについては賛否両論あるようです。しかし130、230のL20には一応効果はありました。広告にあるような最大で燃費が倍に・・・なんてことはありませんでしたけど^_^;

5-1 加速

低速トルクが増大して、街乗りでのアクセル開度は少し減った感じはあります。その他、具体例を出すと次のような条件で走行した場合・・・

以上の条件で走行すると、取付前は加速出来なかったのですが、取付後はジワジワ加速するようになりました。

なお、高回転時にはヒータが吸入抵抗となるので、若干不利のようです。

5-2 燃費

これはあくまでも一例(230DX L20シングルキャブ)ですが、一般道メインの満タン法で以下のようになりました。

  取付前
レギュラーガソリン使用時
取付前
ハイオクガソリン使用時
取付後
ハイオクガソリン使用時
平均燃費[km/L] 6.5 7.5 8.5
備考   点火時期:BTDC17度 点火時期:BTDC22度

*エアコンOFF、パワステ無し、1回あたり400km程度走行した時の満タン法

5-3 排ガス

数値を測って取付前後の比較をしたかったのですが、残念なっがらちょっと使えそうなデータを持ち合わせていません。広告にあるようなCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)は激減するようなことは無かった事は確か(笑)

でもキャタライザ(触媒)の無い車両にしては低目の数値が出ます。特にSUキャブでは、一般的には保安基準スレスレ(CO:4%強)かちょっとハミ出るくらいで調子が良くなるところ、エンジンの調子だけ考えて調整しても、CO:3%、HC:500ppmくらい(保安基準値・・・CO:4.5%、HC:1200ppm)。まるでシングルキャブ車のような数値でした。当時を知る検査員から『SUでこんなに薄いと、パスパス言って走んないハズだけどなぁ』なんて言われた事も。

5-4 その他

燃焼効率が向上し、熱として捨てていた分が減少した様で、炎天下+エアコン使用時の最高水温がやや下がりました。これは230DX、130でハッキリ確認しています。

また点火プラグの焼け具合を確認してみると、少々カーボンの付着が減少しており、大げさではありますがインジェクション車並みです。

 

6.いろいろやってみると・・・

取付要領書にはガスを絞るような事が書かれています。例えば

いろいろやってみましたが、どれもホドホドが良いです。プライマリメインジェットについては、ノーマル(日立製)のジェット#119に対し、#108が付属していましたが、目測はほぼ一緒。日立製の#108と比べると僅かながら付属品の#108のほうが大きい孔(苦笑)

試しにその日立製#108ジェットをつけたら薄過ぎて運転性が著しくダウンしました・・・

以上から、ジェットは替えなくて良いのでは、と思っています。

他の項目をみると、

これ以上空燃比を薄くすると、出力減でアクセルを強く踏むようになり、かえって燃費が悪化したり、調子が悪くなります。

 

7.最後に

スーパーガスターボは極普通に街乗りをしたいとか、低速トルクを増やしたいと言う場合には良いようです。ついでに燃費、排ガスにも良い効果が出る傾向にありますので、この手の性能向上製品の類としては効果が出るほうだと思います。ただし、車種により度合いはそれぞれ(特にインジェクション車は厳しいかも?)。ガソリンを絞る事はあまり意識せず、トルク増大によるアクセル開度減で結果的に燃費が下がる事に期待したいです。
私は1990年に230DXに取り付け、効果はまぁまぁあったのでそれ以来、SUキャブ化後も使い続けています(SU用はヒータ形状がまた違うので注文し直した)。その他、230GL、GX、130と歴代の所有車両にはすべて付いています。

製造・販売元の日本環境電装はホームページはまだないようです。価格はキャブ車用で2万円くらい。ただし、L20のような古いエンジン用のものは、生産を終了したとの話も聞いたことがあります。詳細は直接電話等でお問い合わせください。

また、取付に関するアドバイスは当サイトでも可能なので、掲示板に書き込んでみてください。

日本環境電装

〒761-8001 香川県高松市亀水町1250
TEL 087-881-3933  FAX 087-882-9115

 

 

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