ホーム > 自分でメンテ(ボディ編) > 3. ウィンドウ レギュレータ
難易度指数:2 | ガラスの動きが劇的に変わるかも |
ドアガラスの昇降はウィンドウレギュレータという部品で行います。手巻きのマニュアル式もモータを使ったパワー式も基本構造は同じ。可動部にはグリースが塗られていますが、古くなってくるとグリースにホコリが付着したり、劣化したりして硬化し始めます。するとマニュアル式では操作力増大、パワー式では昇降速度低下、または昇降時異音発生と言う不具合が出始めます。特にグリースが固まる冬場、パワーウィンドウが上がらないと言う事も珍しくはありません。そこでウィンドウレギュレータ(セダン系)のグリースアップ手順をご紹介します。
230ではX型のアームが伸縮してガラスを上下させます。このイラストはセダン&ワゴン&バン系のものですが、HTも大体同じ。ただし、HT系はガラス建付調整が難しいので、脱着はあまりやらないほうが良いかも。
ちなみに、X型アーム式はY30まで採用され、Y31からセダン系にワイヤドラム式になりました。ワイヤと滑車でガラスを上下させるタイプです。初期型の一部車種ではワイヤと滑車が破損してガラスが落ちてしまう不具合が多発、サービスキャンペーンになった事例も。
レギュレータを外したら、可動部に付着している古いグリースを除去してから、新しいグリースを塗布します。古いグリースが残ったまま塗布しても効果は半減するので、できる限り除去します。パーツクリーナやブレーキクリーナを使うと良いでしょう。
使用するグリースは本来なら、シリコン系が良いです。これはローラがプラスチック製だからです。でも少し高価で、あまり簡単に入手もできません。ブレーキのメンテに使うラバーグリースはやや安価で性能上もほぼ問題ないかと思います。普通のシャシグリースでも実際は殆ど不具合は起きないようですが、低温で硬くなりやすいようです。
グリース塗布は特にローラがレールを滑る部位に入念に行います。またローラ裏面にあるローラにガタをなくす為のスプリング周辺にも給油します。ウィンドウ昇降時、「ジョリジョリ〜」と言う音の出所はココですので・・・ 逆に扇型のギヤはあまり神経質にならなくてもいいかも。指では塗布出来ない部分はCRC-556みたいなものを併用しても良いかと思います。
取り外したレギュレータ(フロント左側) |
ローラ&レール部 |
ここでオマケ情報 230セダンのP/Wレギュレータはフロント、リヤ共通の部品ですので、入れ替えが可能です。 |
組み立ては取り外しの逆の手順でやれば問題ありません。でもコレだけでは素っ気無いのでもうちょっと補足を・・・(笑)
外す時やグリースアップなどでレギュレータ単品でいじくりまわしていると、アームやレールの位置関係が取り外し直前とズレてしまい、どうやったら納まるのか判らなくなってしまいます。このページに出てくる画像やイラストを参考にしながら組み付けると良いと思います。また三角のプレートは向きがあるので注意が必要で、黄色い○の部分が一番上に来ます。最初にココにある突起をパネルの位置決め穴に入れて(引っ掛ける感じで)ボルトを仮締めすると良いです。
また、レギュレータは多少の調整ができる様にドアパネル側のボルト通し穴が大き目になっています。今までボルトが締められていた位置は塗装が剥がれているハズですから、ぴったりそこに来る様にして本締めします。
簡単に昇降テストをして動作を確認後、80%程度下げた状態にしてガラス取付の準備をします。
ガラスはとりあえずドアパネルの中に入れます。次にサッシュ(ドア内部前後にあるガラスが入る溝)に嵌るようにします。これで手でガラスが昇降できるようになります。
そしてガラスを下げて行き、レギュレータの固定部に合わせてナット&スクリューで固定します。
そしてもう一度昇降テストを行い、スムーズに昇降するか、建付けは問題ないか確認します。パワーウィンドウ車なら昇降速度は上がっていて、マニュアルウィンドウ車なら操作ハンドルは軽く回るのではないでしょうか。
ドアパネルとの接着剤であるブチルテープは、普通は粘性を失っていないのでそのまま元通りの位置に押し付けて接着します。劣化/硬化している場合は取り除いて専用ブチルテープ(日産純正部品で設定がありますが、市販のテープでも可)で補修します。シーリングスクリーンは隙間なく接着しないと、雨漏りの原因となり、ドアフィニッシャ(内張り)のボードを腐らせます。また、シーリングスクリーンの破れがあった場合は、放置してはいけません。補修するか、適当な素材で自作することになります(純正品は製廃)。
画像はポリ袋での自作例。大きいゴミ袋(厚手のもの)などから切り出して自作したものです(一部純正品を再使用)。これでも立派に役にたちます。ビリビリの純正品を補修するよりも効果的。
クリップがきちんと装着されている事を確認します。外す時にいくつか破損させてしまう事があるので予備を用意していくと良いです。最近ではカーショップやホームセンターでも大規模店なら入手できるようです。まぁ、数個なら無いままでも問題ないケド・・・
フィニッシャを装着する時は上部をドアパネルに引っ掛けるようにしてからクリップ部を叩いてはめ込みます。
マニュアルウィンドウ車ではレギュレータハンドルを固定します。予めピンを装着し、シャフトに押し込むだけです。取付角度も決まっていて、ガラス全閉時に前方向に水平から15〜30度、上に向いた位置にします。
完成したら、再度昇降テストを行い問題ないか最終チェックをします。ガラス昇降は正しく作業すれば作業前と比べると格段に良くなっていると思います。
ドアフィニッシャ用クリップ | ガラス全閉時のレギュレータハンドル位置 |
折角ドアフィニッシャを外したので、劣化しているドアインサイドモールを修理しましょう。
ドアフィニッシャの上側末端部の塩化ビニル製モール(ドアインサイドモール)があります。この塩ビモールが紫外線で劣化して縮んでしまい、両端が浮き上がってしまいます。
A: 修理前の状態。端部が浮き上がったり、酷い場合は完全にちぎれています。
B: モールをフィニッシャから外すと、縮んだモールは取付穴の位置も中心側にずれてしまうので、固定用の爪と干渉→材質の弱いモール側が破損しています。
C: ずれた分、穴を拡大し長穴加工します。干渉をなくすことで、浮きを抑える事ができます。加工方法は削ったりすると応力がかかり破損の原因となるので、半田ゴテ等を使って熱で加工します。バリが出たらカッターナイフで削ぎ落とす感じででやれば良いでしょう。また、曲がり癖ができてしまっている場合は、ドライヤで暖めながら癖を取ると良いです。
D: 完成後の画像。少しまだ浮いていますが、Aと比較すると気にならないレベルになったのではないでしょうか。
折角ドアフィニッシャを外したので、ドアロック系統にも給油しましょう。
ドアロックASSYに繋がる各リンケ−ジの関節部にCRC-556などの潤滑油を軽く吹き付けます。またドアロックASSY内部の可動部にも同様にしてやると良いです。特にリヤドアはドアロックASSY内部のグリース固着で、外気温が低い時に限ってアンロックが出来なくなる不具合が散見されます。本当は一旦外して古いグリースの除去からやりたいところです。この作業手順についてはこちらをご覧下さい。