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ポイント修正

難易度指数:1 これは覚えておいた方が便利

ポイントとはスパークプラグに火花を飛ばす点火回路の中にあります。下図はその回路図(4気筒の例)です。点火系統の電流はバッテリからキースイッチ→レジスタ(抵抗器)→イグニッションコイルの一次側コイルを通り、ポイントを経てアースに落ちます。ポイントではエンジン回転に合わせて電流を毎秒数十回以上ON/OFFするスイッチの役割を果たし、ポイントがON→OFFになった瞬間、イグニッションコイルでは電磁誘導作用が起こります。すると二次側コイルに約2万ボルトの電圧が誘起され、ハイテンションケーブルを経由しスパークプラグで火花が飛ぶカラクリです。

今のクルマでは一次コイルに流れる電流(点火一次電流)の断続をトランジスタでやっているので、ポイントはついていません。それではなぜ“いにしえ”の部品となったか? それは重要度が高いながら寿命があまりにも短く、作動が不完全なことが多いからです。特に、排ガス規制で触媒装着が当たり前になってからは、点火系の信頼性を上げないと触媒破損や火災の危険性が出るほか、点火ミスは直接排ガスにも影響することから、乗用車系では1980年頃からトランジスタ式点火方式が一般的になっています。

ポイントは5千キロ以上使っていると、ON/OFFが満足に出来なくなり、不具合が出始めます。現象としてはアイドリング時に瞬間的にガクッと回転が落ちたり、エンブレ時にマフラから排気ガスが爆発(アフターファイヤ)したり、エンジンが掛からなくなります。
とりあえず軽症で、応急処置しか出来ない場合は、ポイントの接点を修正することで、回復できます。

1. 接点良否判定

ポイントが怪しい場合、接点の電圧降下を測ってみます。

1-1. 部位確認

ディストリビュータ(デスビ)は@、イグニッションコイルはAです。

1-2.分解

ディストリビュータのキャップ(ディスキャップ)を外します。もうここでポイントは見えますが、ロータが邪魔なので外します(引き抜くだけ)。ただし組み付け時には忘れないように注意しましょう。

1-3.ポイントが閉じていることを確認

接点が閉じている(ON状態である)ことを確認します(〇部)。

1-4. サーキットテスタ接続

サーキットテスタを用意し、以下のようにします。

1-5. 電圧測定

キースイッチをON(クランキングはしない事)にして、電圧を読みます。

基準電圧: 2.0V未満であること

下図は2.50Vですので、NGです。実際に始動不良が発生していました。ココは何を測っているかというと、コンタクトポイントの接点部分の電圧降下(厳密に言うと配線等も含めたイグニッションコイル下流回路の電圧降下)を測っています。理論上この電圧はゼロであるべきで、2.0V以上だとプラグに火花が飛ばなくなる可能性が出てきます。電圧が12V(バッテリ電圧)の場合、ポイントが開いているか、イグニッションコイル下流に断線があると思われます。ポイント良否判定をする条件が整っていない事になるので、各部を点検し直します。
なお、セミトランジスタ点火方式の場合は、上記基準電圧は適用されませんのでご注意ください。

測定値が2.0V未満なら、ポイントの接点はOKと判断できます。NGの場合は修正、または交換になりますが、ココでは修正手順を解説します。
ポイント接点が開いた時の隙間も確認する場合は「ポイント交換」の章で解説していますので、必要な場合はそちらへ、このまま終了する場合は逆の手順で復元します。

 

2. ポイント修正

2-1. 接点研削

平ヤスリでシコシコ削ります。ポイント用ヤスリと隙間ゲージ(ポイント交換時に使う)等がセットになったものがカー用品店で入手も出来ます。 ポイントの接点の片方に円錐状の突起が出来ているので、それを平らにするようにすると良いでしょう。紙ヤスリでもOK。少々時間は掛かりますがアームを軽く押し付けながら削れば少しは早く出来ます。削る時の注意点は接点面と平行にヤスリをあてる事。

下は削り終わったアップ画像です。

2-2. 研削後

削ったあとはそのカスが接点に噛み込まないように拭き取るか、パーツクリーナを少量吹きかけて洗浄します。カスが付着したままでは、接触不良となり電気が流れなくなるので、いとも簡単に始動不良に陥ります。

再度電圧降下を計測するため、手順1-4、1-5を実施します。画像では0.73Vと出ました。これでOK。復元後、セルを回すと一発始動でした。

もし測定値が修正前と殆ど変らなかった場合、以下の事が考えられます。

 

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